今回は,TOEICのリーディングパート(いわゆるパート5~7)の問題を集中して解きたい方におすすめの参考書である「新形式精選模試リーディング」をレビューしていきたいと思います。
その魅力はなんといっても,本書に収録されている圧倒的な問題量と言えますが,質が伴っていなければ,いくら数を解いたところで意味はありません。
そこで今回は,量と質両方の観点から,本書で学ぶ価値があるかどうかについて考察してみましょう!
目次
新形式精選模試リーディングの構成
- 名称:TOEICテスト新形式精選模試リーディング
- 著者:中村紳一郎/Susan Anderson監修,加藤優/野村知也/Paul McConnell著
- 出版:ジャパンタイムズ
- 初版:2017年3月
- 問題数:100問のセットが5回分の計500問
- 収録パート:5~7
- 価格:2090円
本書の構成ですが,問題編と解答・解説編の2つに分かれており,本自体もこのように分割できます↓
別冊になっている方が問題編で,メイン冊子は解答・解説編となるわけですが,復習に時間をかける方がほとんどでしょうから,この形が正解でしょう。
前者には全部で5回分の問題が収録されており,マークシートも同数枚が用意されていて取り組みやすいです。
とはいえ,マークシートはリーディングパートのものしか印刷されていないので,姉妹本にあたる新形式精選模試リスニングを併用する方は,200問揃った完璧なマークシートを別に用意する方が良いでしょう。
余談ですが,リーディングとリスニング合わせた模試が5回分で計4180円というのは,なかなかに値ごろ感があってお得です。
以下は本書の目次ですが,最初にリーディングセクションの攻略法がパート別に載っている他,解説の量は充実していて,正解一覧や予想スコア算出表など,役立つ工夫も一通り揃っています↓
リーディングパートの解き方のところで記事にしたような内容が,より具体的な数字を伴って簡潔にまとめられているので,初めての方でも安心して使用することが可能です↓
新形式精選模試リーディングの使い方
本書の使い方ですが,まずは制限時間75分(実際の試験と同じ長さ)で100問全部を一気に解いていきます。
問題用紙やマークシート欄のサイズ感は実際のものとほぼ変わらない点が特徴です。
実際のTOEICと同様,解く時はマークシートの答え部分を塗るようにし,問題用紙には書き込まないように注意しましょう。
続けて丸付けに移りますが,予想スコア算出表(右)は幅がないので,ぴったり○○点のように計算されます↓
上の画像を詳しくみると,正解一覧(左)があったり,3回解くためのチェックボックスも確認できるはずです。
別の参考書だと,スコアが幅を伴って算出されてくることがほとんどで(例えば410~450点の間など),参考になるようであまり役に立たないと感じることが多々あります。
対してこの新形式精選模試リーディングでは,監修者が学校長を務めるTOEIC専門校の受講生のデータを用いるため,1つのしっかりしたスコアを導き出せるというわけです。
さらに,その独自データはスコア算出の際だけでなく解説の内容にも好影響を及ぼしており,多くの受講生が間違いやすいポイントを集中的に解説してくれているところが助かります。
これについて詳しくは次章で紹介しましょう!
新形式精選模試リーディングのパートごとの詳細
この新形式精選模試リーディングでは,別冊となっている問題を開くことなしに復習が可能です。
つまり,もし仮に持ち歩いて勉強する場合でも,別冊は家に置いておくことができるということになります。
もっとも,大型本に当たるので,車内などの勉強にはあまり向いていませんが,少なくとも復習はしやすいです。
パート5
ここでは,パートごとに解答と解説内容をレビューしていきますが,パート5はこのような感じです↓
正答率が問題ごとに記載されているので,低い正答率のものばかり間違えていればまぁしょうがないと納得できますし,捨て問を作る人であれば,自分の判断力の正しさを客観的に確認することもできるでしょう。
加えて,誤答に関しても解説がされていることが多く,自分が正解できなかった原因を解明する際に役立ちます。
これにより,自分が苦手とする文法事項を別の教材で復習するなどの対策が取れるでしょう。
パート6
次にパート6の解答・解説についてですが,レイアウトが見開き型になっていて見やすいです↓
左ページでは,本文と全訳を見比べながら誤解があった文章の有無を確認できますし,語彙も左下に整理されているので見やすいと感じるのではないでしょうか。
右ページの方にはパート5のときと同様,難易度や正解に至るための根拠などが記載されていますが,「990点講師の目」といったコラムでは受講者が間違いやすかった問題の解き方がより詳しく解説されたりします。
正答率が20~30%の問題がかなりあるので,パート6の難易度は高いです(適当に答えると正答率は25%になるはずです)。
しかし,実際のTOEICよりもずっと簡単な問題を出されても困ってしまうので,この難易度はありがたく受け入れましょう。
パート7
パート7は以下のようなレイアウトで,たとえトリプルパッセージであっても,英文と和訳が見開きで一目で確認できました↓
もっとも,この場合,解答と解説を読むためにはページを1つめくる必要があるわけですが,不正解の原因の1番は本文を正確に読めていないことが多いので,そこまで不便には思いません。
パート7においても正答率は1問ずつ書かれています↓
「これがエッセンス」というコラムがありますが,こちらは先ほどの「講師の目」とは異なり,そのパート全体に関する内容となっており,例えば「設問に先に目を通してから解き始める」といった提言は,本番で役立ったものの1つです。
この新形式精選模試リーディングの難易度ですが,極端な問題の偏りはなく,適度に難しい問題も含まれていて本番さながらです。
とはいえ,難しい問題であっても解説を読みさえすれば,何らかの学びはあるもので,例えばマルチプルパッセージでは「こことここの情報以外に,この場所も参照すべきだったのか」や,「この語句の意味を誤解してしまったので間違えた」といった具合に納得でき,正解の根拠を見つける作業が得意になったように感じます。
ちなみに,私からのおすすめの使い方として,TOEICでは問題を解く際は書き込み禁止ですが,自分で復習する際には大いに書き込みましょう。
特に解説にもこのように同じ問題が印刷されていれば,こちらに書き込みを行うことで,問題自体には書き込まずに済みます。
出来が悪かった問題については,英文に解説内容や単語の意味,はたまた自分が思ったことなどを書き込んで持ち運ぶことで,問題が載っている別冊が立派な参考書へと変わるので,何回か解いた後は是非書き込んで復習してみてください。
まとめ
以上,ジャパンタイムズから出版されているTOEICリーディングパート用模試の決定版,TOEICテスト新形式精選模試リーディングのレビューでした。
帯に書いてあった通り,問題数(つまり量)が充実していることはもちろん,解説には正答率や根拠の提示がしっかりと書かれており,復習する際に使いやすいレイアウト(質)も兼ね揃えた模試だったように思います。
一般的に,TOEIC教育に携わる講師たち(満点スコア取得者)が公開テストを受け続ける理由として言われていることは,出題傾向や難易度のズレを確認するためだということです。
当サイトでは,TOEICの運営元が出版している公式問題集についてもレビューしていますが,その問題の質は,最新版を使ったにもかかわらず,現在まさに行われている公開テストに比べるとやや簡易なものになりがちでした(実際,その後に受けた本番よりも予想得点は高く出ていました)。
みなさんには,私のように公式問題集だけを解いては「時間以内に余裕で解ききれた」と安心し,試験本番になって「全然できない」と焦ってしまう結末を迎えてほしくはありません。
そのためにも普段から本番の難易度により近い模試を解くというのは理に適っている方法であり,本書の問題傾向や難易度は公式問題集より高く,むしろ好都合です。
公式問題集にはリスニングパートも含まれているものの,全部で2回分の問題しかありません。
この新形式精選模試リーディングは5回分もの問題を解くことができますので,特にリーディングパートの点数を底上げしたい方には是非手に取ってもらいたいと思います。
2020年の7月には3冊目が販売となり,売れ行きも好調なようです↓
最後までお読みいただきありがとうございました!