今回はTOEIC S&Wのスピーキングに特化した問題集の中から「TOEIC SPEAKINGテスト問題集」を紹介します。
なお,2019年に新形式完全対応版が出ていますが,2017年の旧版と比べてみても,内容に大差はありません。
主な違いは準備時間や解答時間,その他,メモに関する言及がわずかに加わった程度であり,2019年以降もスピーキングテストの形式に何度か変更が行われているため,結局のところ,最新情報は公式ページなどで確認する必要があります(当サイトでは,TOEIC S&Wの解き方は?問題内容や時間配分などの記事でまとめています)。

もくじ
TOEIC SPEAKINGテスト問題集の特徴
基本情報
名称:TOEIC SPEAKING テスト問題集 新形式完全対応版
著者:ロバート ヒルキ,デイビッド セイン
ISBN-13:978-4327430948
出版:研究社
ページ:204p+別冊72p
音源:HPからダウンロード可能
本書は,TOEIC S&Wのスピーキング部分に特化しているだけあって,過不足なく必要な知識や技術が網羅的に学べる構成になっています。
詳しいレビューは次章以降で行うことにして,まずは本書の特徴について簡単に述べますが,1つ目として,問題形式ごとに解き方が詳しく解説されているので,どのような態度でもって本番に挑めばよいのか,1つずつ学んでいけるはずです。
公式の問題集だと,素人の解答も紹介されることがありましたが,解答に使われている表現は完璧な正解になりうるものなので,暗記しておけば本番でも十分に通用するでしょう。
暗記の弊害として一般的に言われていることは,実力以上の英語表現ができてしまう部分とそうでない部分との間で大きな落差が生じてしまい,採点官の印象が悪くなるといったものですが,TOEICのSpeakingテストに限っては,1問ごとに切り離されて全く別の答案として採点されるので問題ありません。
採点官も別の人になりますし,前の問題との繋がりは考慮されず,そもそも誰の答案か明かされずに採点されるのがお決まりなので,本書で使える表現が見つかったらどんどん使っていきましょう!
本番でよく質問されるテーマについても言及されているところも便利です。
もちろん,形式について学んだ後は,実践問題を解いて練習でき,最後には模擬テストも収録されていて,旧版でも5回分,2019年の新版では1回分追加されて6回分を解くことができます。
なお,音声に関しては,CDはありませんが出版社のHPからダウンロード可能で,個人的には,アプリよりもmp3のデータでもらえる方が使いやすいと思っているので満足です↓
次章では,これらの特徴について,実際に内容をみながら解説していきます。
解き方について解説したパート
本書の約7割はSpeakingテストの解き方について解説したものです。
どのようなことに注意して解けばよいのか,いくつかの練習問題を通して実践していきます。
Read a Text Aloud
音読問題ではこのように,いくつかの記号で抑揚やリエゾン,ポーズなどが示されているので,お手本に併せてシャドーイングしましょう↓
また,練習用として,リエゾンや並列表現,さらにはLとRの音の区別や数字の読み方も紹介されているので(もちろん音声付きです),特にPRONUNCIATIONやINTONATIONの項目でMEDIUM以上を取れないような方は必読です↓
発音や抑揚は全体的なスコアに影響します。
Describe a Picture
本書でも言及されていますが,写真描写問題を解く上で大切なことは,使える表現を増やし,同じ表現にならないように話し続けることです。
本書に載っている表現であれば,すべて即座に言えるようにしておいた方が良いように感じます↓
高スコアを目指す場合は重文にする必要が出てくるかもしれませんが,まずは単文で様々なことを正しく描写できることを目指しましょう。
単文でも,どんどん続けて話していけば内容は充実してくるものです。
なお,スピーキングテストの形式が変更されたことで,問題数が増加した一方,1問あたりの解答時間が短くなったため,広く浅く話す能力が求められるようになりました。
ゆえに,本書で紹介されている推測表現については余裕があれば使うようにしましょう。
Respond to Question
応答問題ですが,質問が画面に表示される関係で,素早く答えることに専念できます。
どのような解答ができれば満点がもらえるかについて学べる他,本書では,頻出の質問パターンがいくつか紹介されていて,質問が1つなのか2つなのか,選択肢が与えられるかそうでないか,などのパターン別にどういった答え方ができるか考えておきましょう↓
正しい方針に従って話していくと,採点者にとって論理的でわかりやすい解答が作れるので,スコアアップに繋がりますし,少なくとも本書で問われている内容について自分なりの答えを用意しておくと,本番で大いに助けとなってくれるはずです。
本書と全く同じ質問は出ないでしょうが,似た内容は必ず出題されます(対策した人がちゃんと得点できるように作られています)。
Respond to Questions Using Information Provided
Q8-10も応答問題なのですが,提示された情報を基に答えるところが異なり,個人的には質問が印刷されていないのでリスニング能力が問われるところが苦手です。
ですが,本書で,どのような質問がなされることが多いかであったり,どのような情報を聞き逃してはならないかだったりが学べるので,聞き逃す確率をより小さくすることができます(旧版なので問題番号が1つズレています)↓
もっとも,本番でイマイチ質問を聴き取れずに答える羽目になってしまったようなときは,結果スコアを見るまでは不安な毎日を過ごすことになる(見当違いなことを話してしまっていることも十分あり得る)ので,そうならないよう,本書の音源を何度も聴いて,リスニング力の方も上げておきましょう。
Express an Opinion
この1つ前の章にPropose a Solutionがありますが,現在出題されないので省略し,意見を述べる問題の解き方の方に移ります。
旧版だと準備時間が15秒と短いのですが,その方法として本書内で紹介されている「やるべきこと」はとても多いので,現行の45秒で行うくらいがちょうど良いです↓
なお,日本語ですら答えにくいような出題があるとお手上げになってしまうのがQuestion11でもありますので,「予想される出題例」として紹介されているものに関しては,英語で原稿を用意しておきましょう↓
ピンポイントで出題されずとも,どこかの表現を転用できます。
模擬テスト
TOEIC SPEAKINGテスト問題集には,模擬テストが6回分(旧版は5回)も収録されているのが特徴です。
これだけの数が収録されている問題集は貴重で,解答例を覚えるだけでも,かなりのスコアアップに繋がります。
もっとも,本書で丸暗記したものを本番でそのまま使う場面は少ないのですが,毎回の試験で1~2回くらいは使えるタイミングが到来しますし,幸運にも多くの部分を引用できる問題が出たようなときは,それだけで1つか2つ上の採点スケールに分類されることも夢ではありません。
別冊の解答では,語注で難しめの単語が紹介されているので,それだけを読むだけでも語彙力が増強できる他(以下画像左),私が最も気に入っているのが,最後の意見を述べる問題で解答例が複数個用意されている(以下画像右)ところです↓
これら模擬テストの別冊を使って,解答例を日本語を読んですぐに英語にできるようにしておくだけでも,私は本番でかなり助けられました。
TOEIC S&Wで高スコアを取るために大切なことは,本番形式に合わせた対策をするよりも,英語で話す力をどれだけ高められるかだと思います。
まとめ
以上,研究社のTOEIC SPEAKINGテスト問題集のレビューでした。
現行のテストとは若干出題形式に違いがあるものの,学べる内容は,話す力を根本から高めてくれるもので,知っておくだけでスコアが上がる方針めいたものを学び,自分に合う表現を何度も練習して身に付けることでスピーキングスコアを上昇させることが可能です。
TOEIC S&Wスコア発表!平均と比較してみようでみてきたように,TOEICのS&Wではライティングよりもスピーキングの方が平均点は低く出ます。
加えて,TOEICではスピーキングテストだけを単独で受けることもできるわけです。
その場合の試験時間は20分程度ということで,やや物足りないかと思いきや,試験中は必死になるので,受けた後は頑張ったという満足感(または,もっと頑張らなければという後悔の念)を持つことになります。
スピーキングスコアを上げたい方は,本書で十分に対策して本番に臨むようにしてください(姉妹本としてライティング版もありますが)↓
最後までお読みいただきありがとうございました。