以前,世界一わかりやすいシリーズの文法編をレビューしましたが,そちらが対象としていたのはPart5と6でした。
他にもリスニングや単語対策,そして模試の用意もある同シリーズですが,今回はその中から「Part7読解」を紹介していこうと思います。
TOEICで最大の難所とされるPart7を扱う本書だけに,一体どのような工夫がみられるのでしょうか。
大きな期待を胸に,レビューしていきましょう!
もくじ
世界一わかりやすいPart7読解とは

基本情報
書名:世界一わかりやすいTOEICテストの授業 Part7読解
著者:関正生
出版:株式会社KADOKAWA
ページ数:288ページ
定価:1760円
対象:600点を目指す方から800点超えを狙う方まで
2016年5月以降に実施されている新形式に対応した本書ですが,解説対象がリーディングセクションのスコアに大きく影響するPart7だけに,見た目は「文法編」と比べると分厚いです(上が読解編になります)↓

対象者のレベルや特徴は,世界一わかりやすいシリーズで共通です。
圧倒的な問題数を誇るというよりも1問1問を深く理解することを重視し,頻出語句の解説や公開テストで狙われるポイントがわかりやすく書かれています。
著者の関正生先生は予備校講師のイメージが強いですが,一般企業の英語研修プログラムも過去に担当しており,社会人の勉強事情にも明るいです。
ちょっと授業を受けてみるだけでも,彼が人気になっている理由がわかるでしょう↓
本書のはじめにのところで述べられているように,市販されているPart7の対策本の解説を読んでみると,英文を読めることが暗黙の了解となっていたり,語句の意味をただ羅列しただけだったりするものが多いです。
ゆえに,そういった本でしかこれまで勉強してこなかった方にとって,本書は画期的に思えるでしょう。
本書の目次は以下の通りです↓

Part5と6の2つを1冊で扱った文法編と異なり,この読解編が扱うのはPart7ただ1つなわけですが,それにもかかわらず本書は二部構成となっています。
分割の基準となっているのは,「シングルパッセージかマルチプルパッセージか」であり,割かれているページ数的に半々の配分比です。
専門的な話になりますが,マルチプルパッセージでは2つないしは3つの英文を比較しながら問題を解く必要があるため,一般的にはシングルパッセージよりもずっと難しいとされます。
TOEICの読解対策を謳った参考書の中には,シングルパッセージの問題しか扱っていないものも少なくないため,マルチプルパッセージの練習がこれだけの量できることは大変に喜ばしいことです。
問題数的に言えば,前者が13問の後者は9問以上あり,解説もそれぞれ50ページ以上あります。
頑張って解き終えた暁には,Part7のスコアがかなり上がっているでしょう。
より具体的な中身について,次章でみていきます。
読解編で学べるPart7の攻略法

本書ではPart7のスコアアップに役立つ攻略法を学ぶことができますが,ここでは後半のマルチプルパッセージのものを例にレビューしていくことにしましょう。
学ぶ順番としては他の姉妹本と同様,最初に攻略法が紹介され,その解き方を実際に例題と演習を使って練習していくというのが大まかな流れです↓
- 攻略法について知る
- 例題を解くことでちゃんと「わかる」
- 演習を積んで「できる」状態を目指す
まずは1についてまとめていきますが,最初に典型的な問題を解きます↓

この後に続く質問文まで含めて,ここまでは他の対策本と変わりありません。
役立つ知識が出てくるのはこの後で,攻略法が初お目見えとなります。
これまでにPart7の攻略法を学んだことがなければ,「シングルパッセージ」や「クロス問題」といった用語すら本書で初めて聞くことになるでしょう↓

これにより,TOEIC問題の分析力が増すことになるので,本書を読むまでは「なんとなくできなかったな」程度の問題が,「固有名詞に気づけずに正解できなかった」などと高い精度で分析できるようになります。
続くSTEP2は「定説を斬る」というコーナーとなっており,見開き1ページしかないものの,学べる内容はTOEICの中・上級者の方でも大いに参考になるものです↓

著者はこれまでほぼすべての公開テストを受け続けているということで,その解説内容には高い信憑性があります。
とても具体的かつ実践的な内容になっているのが特徴で,ただ読んでみるだけでも本パートに自信を持って取り組める気がしてくるのが不思議なところです↓

かける時間についての具体的な指示も見受けられました。
この後は,例題と演習の2つを解きながら,上記攻略法の理解を深めていくことになりますが,その内容は以下の通りです↓
- 例題:ダブルパッセージが2つ,トリプルパッセージが1つ
- 演習:前者が4つ,後者が2つ
次章では,これらの問題を使って本書の特徴をみていきましょう。
世界一わかりやすいPart7読解の特徴
ここでは,これまでに説明しきれなかった本書の特徴を紹介していきますが,全訳や解答が用意されていることはもちろん,解説がとても工夫されています。
例えば,見出し(緑色で塗られたセリフ)を読んでみるだけでも,テストに役立つヒントが数多く得られますし,模試の自己分析をする際にも役立つでしょう↓

語句に関しても,1語1語丁寧に解説されていて記憶に残りやすいように思いました。
「ここに注目!」というコーナーでは,ピックアップされた単語を詳細に理解することができました↓

単語と意味をただ並べて書いただけの対策本とは,雲泥の差があることがすぐにわかるでしょう。
箇条書きにまとめた語彙リストも用意されているので,チェックボックスを活用しながら何度も復習してください↓

例題と演習問題の違いとして,後者はより難しくかつ実践的な解説がなされますが,形式的には両者間で大差ないのでここでは省略します。
ちなみに,本書に収録されている問題数は,例題が8題で演習問題が14題の計22題でした。
数は決して多くはありませんが,解説が詳しいので一問から多くを学び取ることができます。
まとめ

以上,関正生先生による世界一わかりやすいTOEICテストの授業シリーズから,Part7読解のレビューでした。
問題を解く量は最小限に抑えられてはいるものの,応用が利きやすい知識が幅広く紹介されていて,語句についても丁寧な解説が印象的で,リストにあるチェックボックスも利用してしっかりしたPart7対策ができます。
マルチプルパッセージを独立する章としている珍しい本書だけに,苦手とする人が多いクロスリファレンス問題の対策が多く練習できるところが強みです。
例題と演習問題を合わせて全9題のマルチプルパッセージを詳しい解説付きで解けるところだけでも,本書を購入する価値があるように感じます。
本書で学んだ後は,本書の解説で見出しになっている攻略のコツを思い出しながら模試の出来を分析してみることで,具体的に自分の弱点をあぶりだしていきましょう!
当記事を読んで,類書との違いを感じた方は是非手に取ってみてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました。