前回,世界一わかりやすいシリーズの文法編のレビューをしましたが,そちらが対象としていたのはパート5と6のみでした。
今回は同じシリーズから「Part7読解」を紹介していきたいと思います。
リスニングや単語のような対策から始めて,世界一わかりやすいシリーズの最後にあたる本書ですが,TOEIC最大の難所であるパート7を扱う本書には,いったいどのような特徴が施されているのでしょうか。
期待しながらレビューしていきましょう!
目次
世界一わかりやすいPart7読解とは
- 書名:世界一わかりやすいTOEICテストの授業Part7読解
- 著者:関正生
- 出版:株式会社KADOKAWA
- ページ数:287ページ
- 定価:1,650円
- 対象:600点を目指す方から800点超えを狙う方まで
2016年5月以降実施の新形式に対応している「読解編」ですが,解説する対象がリーディングパートのスコアに大きく影響するパート7であることからか,本のボリュームは「文法編」と比べても分厚いです(上が本書)↓↓
対象者のレベルや特徴は「世界一わかりやすいシリーズ」で共通です。
問題数を誇るよりも1問1問深く理解することを重視し,頻出語句の解説や公開テストで狙われるポイントがわかりやすく書かれています。
著者の関正生先生は予備校講師というイメージが強いですが,一般企業の英語研修プログラムも担当していたくらいですから,社会人の勉強事情にも明るいです。
ちょっと授業を受けてみるだけでも,彼が人気の理由がわかるでしょう。
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本書のはじめに書いてあるように,市場で売られているパート7の参考書のほとんどは「英文を読めることが前提となった解説」であったり「ただ語句の意味だけが羅列されたような解説」であるものが多いです。
ゆえに,そういった本でしかこれまで勉強してこなかった方には,本書が特に役立つように思います。
早速本書の目次を確認していきましょう↓↓
パート5と6の2つを1冊で扱った文法編と異なり,この読解編で扱うのはパート7ただ1つなわけですが,それにもかかわらず本書の構成も大きく二分されています。
そのときの基準となっているのは,ずばり「シングルパッセージかマルチプルパッセージか」であり,割かれているページ数をみてもウエイトは半々です。
専門的な話になりますが,「マルチプルパッセージ」というのは2つまたは3つの英文を比較しながら問題に答える英文のことで,一般的にはシングルパッセージよりもずっと難しいとされます。
TOEICの読解対策を謳った参考書の中には,シングルパッセージの問題しか扱っていないものもあることを知っている私からすると,マルチプルパッセージの練習がこれだけできるのは大変に喜ばしいことです。
問題数的に言えば,前者が13問の後者は9問以上あり,解説もそれぞれ50ページ以上あります。
後者まで頑張って解き終えた暁には,パート7のスコアがかなり上がっていることでしょう。
より具体的な中身については次章でみていきます。
本書で学べるパート7の攻略法
本書ではパート7のスコアアップに役立つ攻略法について学ぶことができますが,ここでは後半のマルチプルパッセージのものを例にレビューしていくことにしましょう。
学ぶ順番としては他の姉妹本と同様,最初に攻略法について学び,その解き方を実際に例題と演習で練習するというのが大まかな流れです↓↓
- 攻略法について知る
- 例題を解くことでちゃんと「わかる」
- 演習を積んで「できる」状態を目指す
まずは1の攻略法についてまとめていきますが,最初に典型的な問題を解きます↓↓
この後に続く質問文を含めて,ここまでは他の参考書と何の違いもありません。
役立つ知識が出てくるのはその後からで,攻略法が初お目見えとなります。
これまでにパート7の攻略法について学んだことがない方であれば,「シングルパッセージ」や「クロス問題」といった用語について本書で初めて聞くことになるでしょう↓↓
これによりTOEIC問題の分析力が増すので,本書を読むまではなんとなくできなかった問題であっても,「固有名詞に気づけずに正解できなかった」などと自己分析できるようになります。
続くSTEP2は「定説を斬る」というコーナーになっており,見開き1ページ分しかないものの,内容的にはTOEICの中上級者の方でも大いに参考になるものです↓↓
著者はこれまでほぼすべての公開テストを受け続けているので,その説明には信ぴょう性があります。
そしてさらに詳しい説明が加わりますが,とても具体的かつ実践的な内容になっているのが特徴で,読み終えた頃には本パートに自信を持って取り組める気がしてくるのが不思議なところです↓↓
時間についての具体的な記述もみられました。
この後は,例題と演習の2つを解きながら,上記攻略法の理解を深めていくことになりますが,その内容は以下の通りです↓↓
- 例題:ダブルパッセージが2つ,トリプルパッセージが1つ
- 演習:前者が4つ,後者が2つ
それではこれらの問題を使って,本書の特徴についてまとめていきましょう。
世界一わかりやすいPart7読解の特徴
ここからは説明しきれていない本書の特徴についてレビューをしていくことにしますが,全訳や解答があるのはもちろん,解説がとても工夫されています。
例えば見出し(緑色で塗られたセリフ)を読んでいくだけでも,すぐにテストに使えるヒントが数多く得られますし,模試の自己分析をする際にも役立つでしょう↓↓
語句に関しても1語1語丁寧に解説されているので記憶にも残りやすいです。
特に「ここに注目!」というコーナーでは,ピックアップした単語について詳細な説明がなされます↓↓
単語と意味をただ並べて書いただけの参考書とは,雲泥の差があることがすぐにわかるでしょう。
もちろん,箇条書きにまとめた語彙リストも用意されているので,チェックボックスもうまく利用しながら何度も復習してください↓↓
例題と演習問題の違いとして,後者はより難しくなり,より実践的な解説も増えていますが,形式的には両者とも大差ないのでここでは省略します。
結果的に,本書に収録されている問題数は,例題が全8題で演習問題が全14題の計22題です。
数は決して多くはありませんが,解説が詳しいので一問から多くを学ぶことができました。
まとめ
以上,関正生先生による世界一わかりやすいTOEICテストの授業シリーズから「Part7読解」のレビューでした。
問題を解く量は最低限に抑えられている代わりに,応用が利きやすい知識が幅広く紹介されていて,語句についても丁寧な解説が印象的で,リストのチェックボックスも利用してしっかりしたパート7対策が可能となります。
本書は珍しく,マルチプルパッセージを独立する章としているので,苦手とする人が多いクロスリファレンス問題を存分に練習できるところは本書ならではの強みです。
例題と演習問題合わせて全9題のマルチプルパッセージを詳しい解説付きで解けるだけでも,本書を購入する価値はあるように感じます。
本書で学んだあとは,本書の解説の見出しにあった攻略のコツを思い出しながら模試の出来を分析することで,より具体的な自分の弱点を見つけていきましょう!
本記事を読んで,類書との違いを感じた方は是非手に取ってみてください↓↓
最後までお読みいただきありがとうございました。