今回は,初めてTOEICを受ける方でスコアとしては600点を目標とされている方におすすめの「マンガで攻略!はじめてのTOEICテスト全パート対策」という参考書についてレビューします。
タイトルから大変読みやすそうな印象を受けますが,かといって全ページがマンガ形式で書かれているわけではありません。
パートごとに解説があり,練習問題もしっかり用意された真面目な参考書です。
とはいえ,他の本と比べると本書ならではの特徴もあります。
読み終わった際にどのような感想を持ったのかとあわせて紹介していきましょう!
目次
はじめてのTOEICテスト全パート対策とは
- 書名:マンガで攻略!はじめてのTOEICテスト全パート対策
- ボリューム:本(320ページ)+CD(80分)
- 著者:濱崎潤之輔
- 出版社:西東社
- 発売日:2016年11月11日
- 目標スコア:600~730点
- 価格:1,760円
CDも付いていて,分厚いですがソフトカバーで読みやすいサイズの本書です。
最も需要の多い600点を超えることを目標に掲げていて,総合対策ができるために初心者の最初の1冊に向いています。
TOEICの形式についての説明から始まり,パート1~7までの解き方をマンガと練習問題を通して学んでいくことになるわけですが,もちろん,現行のTOEICテスト(新形式)に対応しているのは言うまでもありません↓↓
目次
- 本書の特長と使い方
- TOEICはどんなテスト?
- Part1を攻略!
- Part2を攻略!
- Part3&4を攻略!
- Part5を攻略!
- Part6を攻略!
- Part7を攻略!
- エピローグ
この目次から網羅性があることが伝わってきますが,ベストセラーの本だけあって,この本独自の魅力も当然ながら有しています。
これについては,次章から詳しくみていくことにしましょう。
なお,Kindleのような電子書籍版ではCDの付いていない廉価版も売られているので,目的に応じてそちらを選ぶことも検討してください(例えばTOEICのコツだけをこの本で学び,音声素材は別の教材で行う予定がある方など)。
はじめてのTOEICテスト全パート対策の特徴
本書の大きな特徴は「マンガを取り入れたこと」と「3ステップで学んでいくわかりやすさ」だと思います。
上記画像のようなマンガから大体の章が始まるので,最初に簡単に読むことで解き方の概要について把握することが可能です。
毎回10ページくらいはあるでしょうか。
読み終わると,次ページからは問題形式の説明と特徴についてしっかりとまとめられることになるので,いきなりこのまとめを読むのに対して,より抵抗なく内容に入っていけるというわけです↓↓
ちなみに上のページだけ見ると,どうしても勉強している感が出てきますが,続く「攻略のコツ」というコンテンツに進むと再び安心できるでしょう。
こちらはデザインが秀逸で大変にわかりやすいので,読み進めるための精神的なプレッシャーが少な目です↓↓
わくわくするといいますか,まるでゲームの攻略本を読んでいるような感覚が芽生えてきました。
ちなみに,この攻略のコツは各パートに4~8個ほど用意されています。
コツを理解したら「練習問題」を使って実際に問題を解き,「わかった」を「できる」に変える体験をしましょう↓↓
上の写真はパート1における「正解と解説(左ページ)」と「練習問題(右ページ)」の実例ですが,動きのあるレイアウトなので,見た目的には柔らかい印象を受けるのではないでしょうか。
このページからは他に「全訳・丁寧な解説・重要語句リスト・話者の国籍」について確認することができました。
特に最後の項目については,特定の国の訛りに苦手意識がある方はもちろん,そもそも話者の国籍が違うだけでどれだけ音が聴き取れなくなるのかを経験したことのないTOEICビギナーの方には大変な衝撃となるかもしれません。
以上で見てきたのはパート1における練習問題のページについてでしたが,参考までに残りのパートについても,どのような解説が施されているのか簡単に確認してみましょう。
パート2のものはこのような感じになります↓↓
「冒頭の疑問詞をキャッチしてから要約リテンションする」というのが本書の教えなので,その通りに解説も書かれているわけです。
続くパート3と4のコツは同じため,ひとまとめにして扱います↓↓
先読みする場合に,どの部分に注目するのかまで書かれている類書はほとんど見かけません。
続けてリーディングセクションの解説に移りますが,パート5のものは以下のようになります↓↓
問題と解説が一目で確認できてしまうので便利です。
なお,注意すべきポイントはそこまで多く指示されるわけではないので,初心者の方でも早い段階から頭をTOEICモードに切り替えることができるでしょう。
パート6では,まず正解と解説があり(右ぺージ),
続けて,各設問についての解説が続き↓↓
さらにこの次のページに全訳も用意されています(これについては2つ前の画像左のような感じです)。
最後にパート7についてみていきましょう。
ここでは,本文中のどこを根拠に問題を解いていけばよいのかが,色でわかりやすく表示されていました↓↓
自信がなかった問題は,ここで再度考え直してから答えをみてもよいでしょう。
続くページに軽いヒントも用意されているので,それも参考にしてみてください↓↓
パート6のときと同様,最後に詳しい解説があります↓↓
くどいので省略しますが,もちろん全訳もありました。
読み終えてみての感想
大変わかりやすい本書でしたが,読み終えてみて,惜しむらくは演習問題の少なさでしょうか。
各パートごとに5問前後しかありませんでした。
本書で学んだ攻略のコツをさらに定着させるために,他の問題集の助けが必要です。
また,2時間かけて模試を解くことも別にしなければならないでしょう。
もっとも,「こういったことに注意すればいいんだよ。」という方針を示すまでが本書の目的ですので,量としてはむしろこのくらいが丁度よいのかもしれません。
問題集ではなく,あくまで参考書の扱いですから。
少なくとも,出てきている問題には詳しい解説が載っていて,ここまで丁寧に解説されれば理解できない人はいないでしょうし,この1冊を読むだけでTOEIC試験についての理解が確実に深まります。
初めてTOEICを受ける方で,時間が本番まであまり残されていない方が読むのにおすすめできる内容でした。
著者の濱崎潤之輔氏によれば,「何回か受験したけれど,思うような結果がなかなか出ない方向けに書いた。」とのことです。
私も150分ほどで読み終わりましたので,30分弱で大体一つのパートを終わらせられた計算になりますね(ただし復習時間はこれに含めていません)。
すぐに読めるとはいえ,練習問題を解き終わるとさすがに疲れを感じます。
しかしそんな時でも,次のパートがマンガで始まることがかなりの救いになりましたね。
CDについてですが,コツの説明のときに英文に続けて日本語訳が流れるトラックがあるので,便利な反面,わかりきっている場合にはやや邪魔に感じる時がありました。
そういうものはたいてい1回聞けば十分で,同じものを何度も練習するときは使いにくいかもしれません。
逆に,ところどころで解説される練習法には有意義なものが数多くあったように感じます。
マークシートの塗り方や呼吸の仕方についてまでもが大真面目に解説されているところなど,クスッと笑えるコツも散見されました。
また,「パート3と4のマーク69個をリスニングの終わりに一気に塗るのは正答率をぐっと上げる」というコツは,早速次の模試から試して効果ありだったので,本書以降は採用です。
さらにTOEICで頻出の表現もよくまとめられているので,受験英語しか入っていない方であっても,この本に出てくる単語を覚えるだけで結構TOEIC英語に対応できるようになるのではないでしょうか。
「オーバーラッピング・ディクテーション・シャドーイング・スラッシュリーディング」といったトレーニング方法について「初めて聞いたよ。」という方であれば,こんな練習方法もあるのかと目から鱗状態になると思います。
当サイトでもテクニックをまとめているので参考にしてください↓↓
まとめ
以上,マンガで攻略!はじめてのTOEICテスト全パート対策のレビューでした。
私がこの本の購入を薦めるとしたら,
- 目標スコアが600~730点
- TOEIC初心者かブランクのある方
- リスニングやリーディングはある程度の実力がある
という条件に当てはまる方です。
また,
- マンガなので非常に読みやすい
- 様々なトレーニング方法が学べる
点は,飽きの来ない英語学習をしていく上で特に役立つ本書ならではの魅力でしょう。
TOEICの対策本を数冊やってみるとわかりますが,スコア満点の取得者ともなると,その人なりに決めた解き方があり,結局最後は自分の好み次第だと思えるようになります。
あくまで「私はこうやっているけど,君はどう?」と問いかけられているにすぎず,実際にそのやり方を採用するかどうかの判断は,こちらに決定権があるということは覚えておきましょう。
例えば,パート3で問題文に限らず選択肢まで先読みするか否かのような,解き方についての細かい議論は,満点取得者の間でも意見が分かれます。
最後に,リスニングセクションの音声をそもそも聞き取れるようになるためには,本書で紹介されているシャドーイングやディクテーションの練習を積まなければいけません。
本書を読んだだけでできるようにはならないということです。
さらには,リーディングにおいても,一文一文が精読できるレベルになって初めて文脈を意識した読みができるでしょう。
つまり,英語の実力を高めていくという努力を別でしつつ,さらにこの本で教わったコツを併せて使うことでスコアがアップしやすくなるというのが,私がこの本を通してお伝えしたいことです。
本レビューで興味を持たれた方は,是非購入してみてください↓↓
最後までお読みいただきありがとうございました!