日本におけるTOEIC Programの実施団体であるIIBCは近年,学習者のモチベーションアップや新しい学習機会の提供に力を入れています。
その取り組みは公式アプリのリニューアルやTOEICグッズ・キャンペーンの充実など多岐にわたりますが,今回紹介する「IIBC ENGLISH CAFE inメタバース」も,時代を反映した画期的な取り組みの一つです。
教育現場でのメタバースの活用方法はまだ発展途上の側面もありますが,IIBCが新しいテクノロジーを用いて学習者同士の交流の場を作ろうとしている姿勢は大いに評価できるポイントです。
この記事では,TOEICのメタバース空間の入り方や,そこで一体何ができるのかについて詳しく解説していきます。
メタバースとcluster(クラスター)
「メタバース(metaverse)」という言葉をあまり聞きなれない方のために簡単に説明しておくと,これは「meta(高次元の)」と「universe(宇宙・世界)」を組み合わせた造語です。
一般的にはコンピューターネットワーク上に構築された「仮想空間」のことを指し,利用者は自分の分身となるアバターを操作して空間内を自由に移動し,他の参加者とコミュニケーションを取ったり,イベントに参加したりできる仕組みになっています↓
「メタバース」という呼び名に馴染みがなくても,「VR(仮想現実)」や「バーチャル空間」といった言葉であれば,耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
教育分野においては,遠く離れた場所にいる学習者同士が,あたかも同じ教室にいるかのように相互作用のある学習環境を共有できるツールとして期待されています。
さて,今回紹介する「IIBC ENGLISH CAFE inメタバース」は,TOEICを運営するIIBCが提供している独自の仮想空間です。
ここでは主に,以下の2つを目的としています↓
- 英語学習者同士のコミュニケーションの促進
- テストへ向けたモチベーションアップ
このサービスが初めて公開されたのは2023年3月8日のことで,オープン記念の大型イベントも開催されました(詳細は後述します)。
先の動画は国際宇宙ステーションのメタバースを体験している様子で,VRゴーグルなど大掛かりな機材が使われていますが,TOEICのメタバースはもっと手軽です。
参加方法はIIBC公式ページでも案内されており,スマホやタブレットの場合は「cluster(クラスター)」という無料アプリをインストールして利用します。
もちろんPCからも利用できますが,その場合は端末専用のclusterアプリをインストールして参加する形になります。
例えば,「普段はスマホから入室してマイクをONにし,気軽に英会話を楽しむ」「イベント開催時はPCの大きな画面でスライドを見ながらメモを取る」といった活用法が考えられます。
cluster内で自分のアバターを一から自作するのはハードルが高いため,慣れないうちは豊富に用意されているデフォルト(初期設定)のアバターから好きなものを選ぶのが無難です。
なお,clusterというプラットフォームはIIBC専用というわけではなく,企業や個人が作成した無数のワールド(空間)が存在しています。
他にも魅力的なワールドがたくさんあるので,操作に慣れたら色々な仮想空間を覗いてみるのもメタバースの醍醐味です。
clusterの基本的な操作方法はとてもシンプルで,インターフェースの細かな変更はあるものの,「移動」「マイクのON/OFF」「退室」の3つさえ覚えれば十分に楽しめます。
移動は,画面左下のジョイスティック部分(赤矢印)をスワイプして,アバターが進む方向を操作します↓

画面右側にある矢印マークでジャンプができたり,顔のマークからジェスチャー(手を振るなど)が行えたりしますが,これらは実際に触りながら覚えていくと直感的に理解できるはずです。
特に重要なのが青矢印の先にある「マイク」のアイコンです。
これがONになっていると自分の声が周囲に聞こえます。
最初はOFFに設定されているため,会話に参加したいタイミングでONに切り替えます。
イベントの途中で入室し,いきなり英会話が飛び交っていて面食らってしまった場合のことも考えて,真っ先に「退室方法」を確認しておくと安心です。
退室は,画面左上のclusterのロゴマーク(緑矢印)からメニューを開いて実行します。
ロゴをタップすると設定画面が開き,右上のドアのアイコン(退出ボタン)を押すことで,いつでも元の画面に戻ることができます↓

IIBC ENGLISH CAFE inメタバースで何ができるか

次に,IIBC ENGLISH CAFEの空間内で具体的に何ができるのかを見ていきましょう。
本メタバースには,主に以下の4つのコンテンツ・エリアが用意されています↓
- ENGLISH onlyエリア
- ドリンクコーナー
- 自習スペース
- TOEIC目標宣言写真スポット
それぞれの活用方法を目的別にご紹介します。
英語でコミュニケーションを取る

メタバースに入ってすぐ左手に広がるのが「ENGLISH onlyエリア」です。
ここは英語での会話を楽しむための専用エリアとなっており,椅子やテーブルが設置されています。
同じ目的で来ている学習者同士がアバターを近づけることで,音声やテキストチャットを使ったコミュニケーションが可能です↓

話すテーマは自由ですが,「何を話せばいいかわからない」という方のために,話題を提供してくれる「お題ガチャボタン」のギミックも用意されています。
ボタンを押してみると,
- 行きたい場所はどこ?
- 最近はまっていることは?
- 趣味はなに?
- 苦手な食べ物は?
といった,英会話の定番となる質問がランダムで表示されました。
「このエリアにいる間は絶対に日本語を話さない」という縛りを作ってストイックに練習するのも良いですが,自分より初心者の方と話す際は,プレッシャーを与えないよう優しくフォローする姿勢が大切です。
なお,メタバース内での音声は自分のアバターの近くにいる人にしか聞こえない「空間オーディオ」の仕様になっています。
リアルなカフェのように,遠くの席の会話は聞こえず,近づくにつれて声が大きくなるというclusterの優れた機能が活かされています。
SNSなどで学習仲間と時間を決めて待ち合わせ,その日の出来事について英語で語り合う場として利用するのも良いですし,公式イベントの開催時にふらっと立ち寄り,一期一会の生きた対話を楽しんでみるのもメタバースならではの体験です。
やる気アップ・意思表示の場とする
エントランスを入って右側には「ドリンクコーナー」が設置されています。
ここには,聞く(Listening)・読む(Reading)・話す(Speaking)・書く(Writing)の4技能を表す「L・R・S・W」のアルファベットが書かれたカップが置かれており,アバターの手に持たせることができます↓

ドリンクを飲んでもアバターのステータスが変わるようなゲーム的要素はありませんが,特定のアルファベットが入ったカップを持ち歩くことで,「私は今,スピーキング(S)の練習相手を探しています」といった周囲への意思表示ツールとして機能するわけです。
同じ目的を持つ学習者から話しかけられやすくなったり,情報交換のきっかけになったりする工夫が施されています。
また,ドリンクコーナーのすぐ隣には「写真スポット」があり,TOEIC L&Rの目標宣言として,ここで撮影したスクリーンショットをSNSに投稿することが推奨されています↓

背景のスコアボードは「990点」に固定されており,自由に変更できないのは少し惜しいポイントですが,最高スコアを背負ってアバターを撮影するだけでも気分転換になります。
このワールドには階段があり,2階へ上がると落ち着いた雰囲気の「自習スペース」が広がっていました↓

リアルのカフェや図書館の学習スペースをイメージした空間です。
ここでひとまず着席して学習仲間を待ち,相手が見つかったら1階のENGLISH onlyエリアに移動して会話を始めるといった動線が想定されているようです。
2階の黒板にはIIBCからの最新ニュースが掲示されており,置かれているコピー機をタップすると受験生への応援メッセージが表示されるちょっとしたギミックも隠されています。
過去に開催されたメタバース内イベント
ここからは,過去にIIBC ENGLISH CAFEで開催された主なイベントの様子を紹介します。
オープン記念の初開催イベント

ワールドがオープンした2023年の3月8日には,学生の就職活動をテーマにした大規模な記念イベントが開催されました。
場所は,メタバース空間内に設置された巨大なスクリーンの前です↓

「教えてセンパイ!就活でのTOEIC Tests活用と社会での英語の必要性は?」というテーマで,特別ゲストとしてタレントのなかやまきんに君さんがアバター姿で登壇し,大きな話題を呼びました。
イベントの構成としては,まず内定を獲得した3人の大学生がTOEICの活用体験談を語り,その後,参加者全員でTOEICのリスニング問題に挑戦。
正解発表で盛り上がったのち,なかやまきんに君さんが自身の筋肉留学の経験や英語への熱い思いを語り,最後は参加者全員で記念撮影をして幕を閉じるという,非常に充実した2時間でした。
この初回イベントに合わせて,公式による「みんなで模擬受験」の限定復活キャンペーンなどもアナウンスされました↓

YouTubeライブなどと連動した「模擬受験」はコロナ禍で多くの学習者を支えた企画でしたが,メタバース空間と組み合わせることで,オンライン学習イベントの新しい形を感じさせる内容でした。
過去に開催された公式オフ会
IIBC ENGLISH CAFEでは「公式オフ会」が開催されたこともあります。
2023年11月に行われたオフ会では「ネイティブ講師がやってくる!」とアナウンスされており,ワールドに入室するとネイティブスピーカーの自然な英語が飛び交っていました。
大型スクリーンには「初対面で役立つ英語フレーズ」などが投影されており,IIBCのスタッフ(名物のアイ店長など)もアバターで参加して場を盛り上げてくれます。
「絶対に英語を話さなければならない」といった強制力はなく,日本語でチャット挨拶をして様子を眺めるだけでも問題ありません。
英会話カフェにふらっと立ち寄る感覚で気軽に参加できる雰囲気が作られています↓

オフ会参加時の主なルールとしては,
- 1つのルームの入場人数には上限がある(満員の場合は入れない)
- ボイスチャット(会話)をする場合はハウリング防止のためイヤホンの使用が推奨される
といった基本的なマナーが設けられています。
開催時間は1時間程度で,話のきっかけとなる「トークテーマ」が事前に設定されているのが特徴です。
例えば,過去に行われたオフ会では以下のようなテーマが用意されていました↓

今後のイベントやオフ会の開催日程については,IIBC公式サイトのイベント情報ページや公式SNSでアナウンスされるため,興味のある方は定期的にチェックしておくのがおすすめです。
まとめ

以上,TOEIC運営による「IIBC ENGLISH CAFE inメタバース」の使い方やイベント内容について解説しました。
メタバースやclusterという言葉に馴染みがなかった方も,アプリ一つで仮想空間に入り,学習者同士でアウトプットの練習ができたり,ゲストを招いたイベントが開催されていたりするイメージが掴めたのではないでしょうか。
現在はイベント開催時ほど人が集まっているわけではありませんが,TOEIC学習者向けにこうした交流空間が用意されていること自体は興味深い取り組みです。
普段の単語暗記や文法学習に行き詰まりを感じた時は,公式サイトやSNSで開催状況を確認しつつ,気分転換として覗いてみるとよいでしょう。
また,公式イベントやオフ会が再び開催される場合には,英語で話すきっかけを作れる貴重な場にもなります。
今後の動きはIIBC公式サイトやSNSで確認しておくとよいでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。