NHKの過去の英語講座が破格で聴き放題になるポケット語学ですが,今回はそれぞれの講座ごとに「TOEIC上級者(Aレベル)である私が普段行っている使い方」について紹介してみたいと思います。
折角アプリを使って学ぶわけですから,その強みが生かせるようにと,毎日15分(1レッスン)の勉強だけにとどまらず,できるだけ多くの英語に触れることを優先したいものです。
とはいえ,ただ闇雲に進めていっても,頑張った割には記憶に残っていないという悲しい事態に陥ってしまうかもしれません。
なので,速習を重視しつつも暗記効率を考慮に入れた勉強法を考える必要があります。
私は普段,小中高生に英語を教える塾講師を生業とし,それとは別に大手塾の添削業務や採点も行う傍ら,勉強法について考えさせられる機会が多くあるわけですが,そうは言いながらも,今回紹介する方法は,公式が推奨している使い方とは異なるのは確かです。
あくまで事例の1つとして,「ポケット語学はこんな使い方をすることもできるんだな」と,ご自身の勉強法を生み出す上での参考にしていただけたらと思います。
目次
ポケット語学のラジオ英会話の使い方
ポケット語学に申し込んだら早速,各講座内にある「はじめに」を読み比べてみてください↓
すると,ラジオ英会話の講座のみ「文法ガイダンス」という項目が存在し,比較的長きにわたって文法の解説がなされていることに気がつくはずです(上記画像に示した内容です)。
このことからも方向性が見えてくるのですが,ポケット語学のラジオ英会話は文法学習用として割り切って使うのが自然で,本講座に登場する英文法をすべて学び終えた暁には,英文法をネイティブ視点から捉えられるようになります。
学び方としては,以下の手順で行うようにしてください↓
ラジオ英会話の使い方
- 通しで聴く
- テストを受ける
- 解説を読む
- 文ごとに聴いて音読
- テストを受ける
何の変哲もない順番に思われるかもしれませんが,公式のそれとは最初から最後まで大きく異なっています。
例えば1の「通しで聴く」についてですが,「STEP1 会話文で学習する」のところではなく,「STEP3 テストを受ける」をクリックし,最初の問題で全文が聴けるので,それを使うようにしてください↓
こうすることで,日本語や英文を介さずに聴くことになり,純粋に現在のリスニング力を試すことができるようになるわけです。
テストはそのまま続けて最後まで解いていきましょう!
このときのポイントとしては,できなくても気にしないことと,回答する前に再度答えを見直すという2点です。
解説はこのときは読まないようにしてください。
テストは今の自分がわからないことを発見するために利用するものなので,最初にいきなり全問正解できればもちろん嬉しいのですが,その反面,その教材からは学ぶことがほとんどないことをも意味しています。
また,特に最初は誤入力が多いので,モチベーションを保つためにも,提出する前には一通りスペルチェックを行うようにしましょう。
出来を確認したら,次に「STEP2 解説を読む」をクリックしてください。
単語の発音に弱点がある方は,ここで音声による解説を聴いても構いませんが,ポケット語学の解説は基本的に講師の説明を漏れなく書き起こしたものになっています。
それゆえ,音声で聞こうと,はたまた文字だけで読もうと,得られる知識に変わりはありません。
講師のファンなどの事情がなければ,文字で読むほうが早いのでおすすめです。
内容について理解したら,再度会話文を聞くのですが,今度は「STEP1 会話文で学習する」の方を選んで,一文一文の意味を確認しながら丁寧に聴くようにします。
ゆえに「通し再生」は使いませんのでご注意ください。
このとき,これはと思った会話文(意味的にわからない単語や文法を含んでいる文,はたまた早すぎて聞き取りづらかった文や面白かった文など)があればフレーズ帳に登録するようにします↓
単語は単独よりも文に登場してくる形で覚えた方が,記憶に残りやすいものです。
ただ一度聴いただけでわかるときもありますが,通常はこのあと,自分で最初から音読し,意味が同時に浮かぶかなどをチェックします。
意味と音をある程度理解できたと感じたら,再度テストを解いてみましょう。
その結果,70~75点以上の評価が得られるようであれば,そのレッスンは理解できたとみなして無事卒業です。
以上,ここまでが1つのレッスンの学び方になりますが,これをLesson5まで同じようにやったら初日の学習は終わりとなります(なお,5の倍数のLessonはアプリに収録されていないので,実質1日にやるのは4レッスンだけとなります)。
2日目以降は,まとめテストを最初にやってから,新たなレッスンを初日同様,進めていきましょう↓
まとめのテストでは,前日に行ったレッスンすべての復習になりますが,解き終えた後,間違えた問題については詳しい解説にまで戻って復習できる点が便利です↓
間違えた問題以外にも,どうしてその答えになるのか自信をもって説明できないようなものがあれば,進んで解説を読むようにしてください。
一応,2日目にやることを確認しておくと,
- まとめのテスト1~4
- Lesson6
- Lesson7
- Lesson8
- Lesson9
- Lesson10
となります(ここでも,5の倍数であるLesson10は形だけで中身はありません)。
このように進めていくと,1日に費やす勉強時間は毎回1時間程度になるかと思いますが,1年分のレッスンは240レッスンあるので,48日あれば全てやり終えることが可能です。
この他,1日のノルマをやり終えて時間が余ったときなどには,フレーズ帳をちょこちょこ見直すようにしていますが,詳しい復習方法については後述しています。
ポケット語学の入門ビジネス英語の使い方
次に,ポケット語学にある入門ビジネス英語の使い方ですが,これはビジネスで役立つ表現や知識について学ぶための講座となります。
語彙に限らず,頻繁に出くわすであろうシーンごとに,どういう点に気をつけて話すようにすればよいのかという方針めいたものまで学ぶことができるため,応用できる幅が広い講座です。
例えば,自己紹介する場面は意外と多いように思われますが,日本語だとよく「宜しくお願いします」などと言いますね。
ですが,英語では一体それをどのように表現すればよいのでしょうか。
その答えについて知りたい方は,入門ビジネス英語を是非とも受講するようにしましょう!
ポケット語学の中でも,本講座はレッスン数が一番少ないため,短期間でビジネス英語の基本を押さえることが可能です。
他社による本格的な教材やオンライン英会話を使う場合であっても,本講座で一度学んでから始めることで,よりスムーズに進めることができます。
1つのレッスンを学ぶ手順については,先のラジオ英会話のものと同じです↓
入門ビジネス英語の使い方
詳しくは前章を参照してください。
通しで聴いて,テストを受け,解説を読むという作業を行ったあとで,再び聴いてはテストします。
ただし,本講座の1レッスン学習にかかる時間は,ラジオ英会話より少し増えて10~15分かかることが多くなる上,本講座の利用者としてはビジネスパーソンの方が多いでしょうから,平日と休日での時間の使い方が大きく異なることも考慮に入れて,やや特殊なカリキュラムにせざるを得ないです。
そこで,私的な使い方では「3日で5レッスンを進める」ことを目標とし,その内訳は,
- 1日目:レッスンを2つ進める
- 2日目:レッスンを2つ進める
- 3日目:まとめのテストを行う
を1セットとしています。
1時間をフルに使えばもう少し無理をしたスケジュールにもできるのですが,ここではあえて無理をしないことをおすすめします。
余裕ができる分,会話文の理解には時間を費やすようにして,何度も聴くか音読するようにしましょう。
加えて,一度に2レッスンを続けてやるのではなく,また別のスキマ時間を見つけてフレッシュな気持ちで取り組む方が良い結果につながるように感じます。
たしかに,理想としてはラジオ英会話の時と同様,「まとめテストをやってから新たなレッスンを4つ進める」ことを1日のノルマとして提案したいのですが,それを完璧にこなすためには,当初予定していた勉強時間の枠を超えて,毎日1時間30分程度の勉強時間が必要になるでしょう。
同時に,内容が盛りだくさんなだけに,理解が追いつかない危険性も高いです。
もっとも,1日2レッスンの学習でも,1ヶ月あれば1年分の内容を学び終えることができるわけですし,その2倍の2ヶ月を費やせば2年分(2シーズン分)の内容が速習できてしまいます。
これでもなかなかに立派な数字だと思うのですが,いかがでしょう。
ところで,もう1つ別にやってもらいたいこととして,レッスンの解説を読んでいて「これはタメになる」と感じたものがあれば,その画面をスクリーンショットで保存するようにしてください。
例えば,本章の冒頭に載せた画像はレッスン1の内容ですが,自己紹介では簡潔さを心がけながらも多くの情報を盛り込むように工夫したり,嬉しさや意欲,そして期待を添えたりするテクニックなど,知っているのとそうでないのとでは大違いでしょう。
昔であれば,こういった情報は小さなノートを持ち歩いて書き留める必要があったのでしょうが,スクリーンショットで残すだけで十分です。
学び始めた最初の3日間だけでも,
- 相手に好印象を与える自己紹介
- ポジティブな会話の進め方
- お互いの共通点を見出す
- 仕事のやりがいをポジティブに語る
といった方法が登場してきましたが,これらの知識は英語に限らず,広く日常生活に応用できることと思います。
なお,こうして撮りためたスクリーンショットですが,土日に時間を見つけてどこか別の媒体にまとめ直すか,ポケット語学の契約期間が終了した後からも見直すことが可能です。
特に,このスクリーンショットの整理とまとめのテストを使った復習作業はしっかりと行うことが重要なので,平日の通勤時にはレッスンを2つ進めることだけに専念し,まとめのテスト(2つ分)は土日にまとめてやることにしても構いません。
その場合,最初1週間のスケジュールとしては,
- 月曜:Lesson1と2
- 火曜:Lesson3と4
- 水曜:Lesson5と6
- 木曜:Lesson7と8
- 金曜:予備日
- 土日:まとめのテスト2回
となるでしょうか。
このペースでも,2年分が3ヶ月で終了しますし,わかりやすさの点ではこちらの方が優れていますかね。
予備日は,貯まったフレーズ帳を復習する日と決めてしまうのも良いでしょう。
わかりやすく無理のないルールを決め,後はそれを確実に実行することこそ,ポケット語学の学習に成功するコツだと思います。
ポケット語学の実践ビジネス英語の使い方
3つ目は実践ビジネス英語の使い方ですが,社会的な話題をきっかけとし,リスニング能力をとにかく高めたいと思うような方は,この講座がおすすめです。
1レッスンあたり,時間にして15分以上がかかりますが,要求される英語のレベルがかなり高いので,TOEICの900点程度の学力では,1レッスンに取り組むだけでもかなりの根気が必要となります。
取り組む方法としては,1日1レッスンを限度とし,余った時間は先週までの音源を聴き直す時間に充てたり,後述する特別なトレーニングを行う方針でいきましょう。
とはいえ,当初放送されたスケジュールは週に3レッスンでしたので,1日1つでも進度的には約2倍のスピードで学んでいくことになりますし,勉強時間はさらに多くなります。
繰り返しますが,実践ビジネス英語では復習の時間を多く取ることが必須です。
私の場合,平日の過ごし方は,
- 行きの電車で先週分の復習を済ませる
- 帰りの電車で新たなレッスンを行う
といった感じになり,仕事前に疲れたくないという理由から,負荷の低い復習作業からまずは行うようにしている他,まとめのテストや,より理解を深めるための特別なトレーニング(後述)は休日を利用して行うことに決めました。
実践ビジネス英語の進め方ですが,やはり最初に聴くべき会話文は,やはり日本語や英語の書かれていない「STEP3 テストを受ける」に用意されているものにしています。
そのままテストに臨みますが,難しいと思いきや,何度も聴き直せるディクテーションがあったりと意外と解きやすいので,身構えていた割に拍子抜けするかもしれません。
ですが,本文に関してはずっと難易度が高いままです。
「STEP1 会話文で学習する」に戻って,1文単位で時間をかけては聴きこんでいきます。
同じ文を10回ぐらい聴き直すこともしばしばです。
ある程度聞き取れるようになったら,STEP2の解説に移りますが,本講座においても,講師のしゃべる内容はすべて原稿に書き起こされているので,音声で聞く必要はありません。
その後,STEP1に戻って通しで聴いてみてください。
このときに内容がわかるようになったと感じたら,最後にテストを受けて終わりにしましょう。
ここまでの使い方についてまとめると,以下のようになります↓
実践ビジネス英語の使い方
- 音声を通しで聞く
- テストを解く
- 1文ごとに意味を確認する
- 解説を読む
- 全文を通しで聴く
- テストを受ける
このようなペースで学習していくと,1年分のコンテンツは約半年(168日)で終えることができ,2年分まで学ぶような気概のある方であれば,年額プランで契約しても十分に元が取れるでしょう。
私的には,学生時代から憧れだった杉田先生の講座がこのような形で聴けるようになって嬉しい限りです。
ポケット語学における復習方法
ポケット語学では速習が可能になる反面,復習についての意識がついつい疎かになってしまいがちです。
そこで本章では,復習のタイミングや方法について,いくつかのテクニックとともにまとめてみたいと思います。
まず,何と言っても,ポケット語学では「フレーズ帳」が便利です。
先のラジオ英会話の章でも紹介しましたが,これは会話文を1つずつ聴くことで使えるようになるもので,登録した文中のフレーズを後から確認できる機能となります。
あまりに数が増えるようだと扱いに困りますが,できたものとできなかったものに区別することもできるので,復習する際はこれらをうまく利用しましょう。
最初に未分類のものをチェックし,どんどん別のフォルダへと振り分けていきます。
そして,次の週にでも,未分類またはできなかったフレーズを中心に復習することで,効率良く弱点を克服していきましょう。
英語だけ・日本語だけを表示させることも可能です。
入門ビジネス英語の章では「スクリーンショット」について言及しました。
到底すぐには覚えきることができなさそうな情報の他,ラジオ英会話では英文法の用法でよくわからなかった解説や,もっと詳しく知りたくなった文法用語について,辞書や文法書を使って調べてみるのも良い使い方だと思います。
本で調べた際には線を引くなどして目立たせておくことで,どこかのタイミングで目に留まりやすくなっておすすめです。
また,調べた内容をまとめるためのノートを別に1冊作ってみるのも大いにありだと思います。
その他,復習する際のトレーニングとしては,「音読・リピーティング・ロールプレイ・シャドーイング・ディクテーション」が考えられますが,講座ごとに向き・不向きがあるので,以下の表に従って,メニューを考えるようにしてください(○=特にしやすい,△=できる,×=やりにくいを意味します)↓
英会話 | 入門ビジ | 実践ビジ | |
音読 | ○ | ○ | ○ |
リピーティング | △ | ○ | × |
ロールプレイ | ○ | △ | △ |
シャドーイング | ○ | ○ | ○ |
ディクテーション | × | × | ○ |
例えば,ディクテーションをやろうと考えた際,通常であればノートと紙が必要になりますが,実践ビジネス英語講座を素材に使えば,「STEP3 テストを受ける」の後半部分がディクテーションの問題になっているので,ただ画面をタップするだけで簡単に行えてしまうわけです。
逆に,実践ビジネス英語では1文がどうしても長くなる傾向にありますから,リピーティングのトレーニングは不向きとなります。
もちろん,不向きなトレーニングであっても,長い時間をかけて工夫すれば,あらゆる講座でもできるようになるでしょう。
ですが,「持ち運びしやすい」という意味が込められた「ポケット」語学なわけですから,わざわざそこまで手間をかける必要もないと思います。
その分,向いている別のトレーニングに時間を費やした方がずっと効率的です。
なお,その他の方法として,トップページにある「スペシャルコース」からもディクテーションなどの問題に挑戦することができます。
例えばキーフレーズ特訓では,上で紹介しなかった英作文の力をアップできるトレーニングが練習可能です↓
なお,上で挙げたトレーニング方法について詳しく知りたい方は,以下の記事を読むようにしてください↓
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まとめ
以上,ポケット語学にある各講座の特性を生かした「私的な」勉強法の紹介でした。
ラジオ英会話は英文法を学ぶのに適しており,どちらかといえば,受験を控えた学生や自宅で腰を落ち着けて学習できる方に向いています。
辞書や文法書はあると便利だとは思いますが,ウェブで検索してみるだけでも構いません。
次に入門ビジネス英語に関しては,英語に限らず,考え方として役に立つ内容が多いように思われます。
それこそ,天気について話す際に,現状と全く逆のことを言って笑いを取る方法や,自己紹介で,多くの情報を簡潔に言うことの破壊力に気がつくことができれば,日本語で会話するときにも応用できてしまうわけです。
そして,最後の実践ビジネス英語に関しては,NHK語学の中でも最高レベルに位置するだけあって,大変取り組みがいのある内容で,リスニングの力が大きく鍛えられます。
どれも数年前の講座ではありますが,今でも十分に通用する内容です。
それらが,月額1000円ちょっと出せば音声まで含めて利用し放題となるわけですから,1日1レッスン進めるだけでも十分に元は取れてしまいます。
それこそ,洋画やドラマを使って役立つ表現がないかと探くらいなら,ほぼ全てが使える表現になっているポケット語学で学んだ方が圧倒的に効率が良いですし,表現自体は正しく洗練された英語なので,安心して学ぶことができるでしょう。
まずは7日無料体験で,どれほどのペースで進められるのかを確認し,そして1週間やってみてどのくらいの変化があるか実感してみてください↓
本アプリの評判については,以下の記事をどうぞ↓
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