TOEICで目標スコアを設定することは大変良いことですが,例えばスコアを100点上げるためにどれくらいの勉強時間が必要になるのでしょうか。
母語である日本語について考えてみると,私たちは2歳児の段階ですでに2000時間もの日本語をリスニングしてきた計算になるようです(参考)。
そしてこの「2000時間」というのは,英語を含むあらゆる言語において,相手が話す内容を理解するために必要な時間であるとされています(似たような話に,あらゆる職業において「プロ」と呼べるレベルに達するためには10000時間が必要だという話があります)。
もちろん,このときに勉強効率や才能などが関係してくるでしょう。
ですが,どんなスコアを目指すにしても,ある程度の時間を捧げなければ上達しないことは確かです。
そこで今回の記事では「目標となるTOEICスコアを達成するのに必要な勉強時間」を中心に,1日2時間の計300時間を可能にするための心構えについてみていきましょう!
もくじ
TOEICスコアを100点アップさせるのにかかる勉強時間
TOEICを運営している国際ビジネスコミュニケーション協会の資料の中に,「ネイティブ講師による英会話研修を受けた時間数と,研修前後のTOEICスコアの変化を比較したデータ」というのがあります。
まずは,その内容をまとめましょう↓
100点のスコアアップに必要な時間
- 300点を400点にするには200時間が必要
- 400点を500点にするには250時間が必要
- 500点を600点にするには300時間が必要
- 600点を700点にするには350時間が必要
- 700点を800点にするには400時間が必要
- 800点を900点にするには500時間が必要
これは1日2時間,週に2回の英語研修に基づくデータで,予習や復習の時間は含みません。

なお,上記の時間をすべて足し合わせるとまさに先の「2000時間」になり,TOEICのスコアを300点から900点にまでアップさせることができます。
TOEICで900点近くを取って,ようやくネイティブの2歳児レベルというのはちょっと悲しい話ですが,実際,今の自分の置かれた状況を冷静に分析してみると,あながち間違っていないように思うわけです。
他の900点取得者に尋ねても,誰もが口を揃えて
英語ができるようになったかと聞かれればまだまだで,やっとスタート地点に立っただけだ
と言います。
その他のデータとしては三枝幸夫氏の論文があり,こちらでは先のものよりは少なくなっていて,100点アップするのに200~325時間が必要である他,250点から950点までに必要な勉強時間は1750時間です。
細かな違いはあれど,数字というのは自分を裏切りません。
日本人の平均スコアが600点ちょっとであることを考慮しても,ここでは「300時間」を1つ目安に学んでみると,TOEICスコアが上がったことを実感できそうです。
300時間の勉強は忙しくても可能
ここからはTOEICのスコアをアップさせるための2つの心構えについてみていきます。
まず1つ目ですが,三井住友海上の社長の談話をどうぞ↓
私が上司の立場になって意識して行ったのは,難しい案件はあえて一番忙しい部下に託すことだった。忙しい人間ほど,限られた時間内に多くの案件を処理するスピードが要求され,決断力が研ぎ澄まされているからだ(2015年 柄澤康喜談)。
この話から,忙しさについて考えてみましょう。
まず最初に言いたいのは,「忙しいからできない」というのは言い訳だということです。
学生時代によく見かけましたが,勉強ができる人の多くは部活を熱心にやっています。
そうなると,自由時間は減ってしまいますが,時間の大切さを知っているからこそ,ちょっとした空き時間も無駄にしなくなるわけです。
これは私事になりますが,とある習い事をしていて「忙しいからお休みします」と伝えたところ,先生は許してくれませんでした。
これも上の理屈で考えてみれば
忙しいのを承知で始めたのだから,忙しさは言い訳にできない
ということになるでしょう。
その証拠に「やる気が出ないので休みます」と言ったときには何も言われませんでした。
ここで一度,どうしてTOEICの勉強をしようと思ったのか考えてみてください。
おそらくみなさん,覚悟を決めて始めたはずです。
ならば,忙しさを言い訳にすることはあってはなりません。
もう1つ伝えたいこととして,締め切りこそが人を成長させるという話があります。
「時間ができたからTOEICの勉強をするか」という態度では,忙しければ勉強は後回しにされてやらなくなってしまうでしょう。
結局だらだらと勉強を続けるようでは,大きな成長を見せることはなく,自然とフェードアウトしてしまうはずです。
終わりがないということは,きりがないということでもあります。
締め切りがあるおかげで,なんとかその日までに仕上げようと頑張れるし,実力以上の作品が作れるんだ
とは,友達の漫画家の言葉ですが,音楽で作曲したり絵を描いたりする場合においても,締め切りがなければ,気になるところをずっと直しつづける羽目になってしまうでしょう。
TOEICも芸術も趣味でやる分には構いませんが,仕事の一環として取り組むのであれば,短期間で目標を達成するように計画しましょう。
TOEICの学習において1日2時間,週6回勉強した場合,約半年で300時間が達成できますし,1日1時間だと1年間で可能です。
以上をまとめると,TOEICの勉強を始めるときは「1~2時間は毎日必ず英語学習に費やす」などと決め,「半年または1年でTOEICスコアを100点アップさせる」ことを目標に勉強するのが健全な考え方のように思われます。
1日2時間の勉強時間はスキマ時間から捻出する
1日に2時間勉強するというのは,社会人や学生にとって比較的困難なことのように思われますが,連続した2時間を設ける代わりに,10分や15分といったスキマ時間を使って勉強するようにすれば,意外と難なく達成できるものです。
最近よく耳にするようになったこのスキマ時間ですが,代表例としては「通勤や通学時間」の他に「ながら時間」というものがあります。
後者は,朝食を食べながら英字新聞を読んだり,歩きながらイヤホンで英語を聞いたりすることとされ,こうした時間を積極的に勉強に役立てていきたいものです。
注意点ですが,スキマ時間における英語学習では聞き流しがメインの勉強方法となるため,初めて聞く音源は教材にふさわしくありません(易しい音源であれば許容されます)。
逆に,1度完璧に理解したものであれば,聞き流しているだけでも意味や音が頭に入ってきやすいので,できるだけ既習内容を使って勉強するようにしましょう。
もっとも,スキマ時間の合計が何分になっているなのかを測るのは難しいものです。
やる気を上げるためにも,5分単位で学習時間を記録できるアプリを使いましょう。
アナログ式の方は日記に付けておくのがおすすめです。
まとめ
ここまで,TOEICのスコアアップに必要な勉強時間を紹介し,忙しい中で時間を捻出する心構えとスキマ時間の有効活用についてみてきました。
今回の記事の要点をまとめると,
- 勉強時間は300時間を目安にする
- 忙しさを言い訳にせず,締め切りも設定する
- 勉強時間はスキマ時間から捻出し,1日1~2時間を目標に
- 半年または1年でスコアアップが実感できる
となります。
繰り返しになりますが,勉強時間は数値で可視化できるので誤魔化しようがなく,絶対的な価値を持つ物差しとして機能するものです。
是非とも300時間を目安に,忙しい生活の中にTOEIC勉強を取り入れましょう!
目標スコア別の具体的な勉強法については,以下の記事も参考にしてください↓
最後までお読みいただきありがとうございました。