ビジネスにおけるEメールの書き方について,書店に行けば色々な参考書がありますが,ネット上でかなり実のある内容を学べる「英文メール強化塾」を利用してみてはいかがでしょうか。
これはTOEICの公式サイトで学習用サポート教材として無料提供されており,講師の先生も一流の方が書かれたものです。
テーマは「相手を動かすライティング戦略」ということで,応用の利きやすい知識が得られることでしょう。
ここでは英文メール強化塾の概要から始め,講師のポール・ビソネット氏の紹介や実際の内容についてレビューしていきたいと思います。
目次
ポール・ビソネット氏について
英文メール強化塾の講師はポール・ビソネット氏で,彼は今,pbwritingcenterという会社の代表として,英文ライティング関連の研修などのサービスを提供しているようです。
上記サイトによると,カナダのモントリオール生まれで1975年に来日して以来,ディズニーやルイヴィトン,花王,キャノン,ソニー,武田薬品工業,トヨタ自動車といった200社以上の大手企業相手に研修を行ったほか,外語大の講師としても10年の指導歴がありました。
また,アルク社などから書籍が出版されており,4万部を超えるベストセラーになった「相手を必ず動かす英文メールの書き方」は有名です。
その他,ENGLISH JOURNALやPRESIDENTなどの雑誌においても連載やインタービューの記事があります。
今回紹介する英文メール強化塾に関しては,2006年から2018年までの12年間にわたって連載しており,ボリューム的にもかなりのものが期待できるはずです。
なお,上で紹介したHPのGatewayというコーナーでも,ちょっとした読み物が読めます。
英文メール強化塾の使い方
まずは英文メール強化塾にアクセスしてみましょう↓
すると上記画像のようなページが出てきますが,記事の数は全部で26個が確認できます。
一番下から古い順に並んでいるので,第1回目のレッスン(Blame it on the customer?)を見てみましょう。
毎回テーマが設けられていますが,初回は「相手に品質上の問題を改善させること」のようです↓
ここではさらに,相手の協力を促すことも目的になっています。
目的の下には状況の詳細が書かれていて,ここでは自社の傘の輸入販売元に対して,客からのクレーム(傘が水に濡れると開きにくくなること)を伝え,さらにはその不具合を改善させつつ販売を継続することについてメールを書くようです。
ちょっとした相関図もあって,実際にありそうな凝った設定になっていることがわかりますが,書き手は毎回カトウ(名前はヒロシかヒロミ)さんで,読み手は毎回スミスさんとなっています(参考までに日本語で言う「山田太郎」は英語だと「ジョンスミス」となります)。
それ以外にも,相手との力関係であったり,どういった戦略でもって目的を達成するかというところが書かれているところが興味深いです↓
「職人の高いプライドを利用する」や「パートナーとして相手を鼓舞する」などの刺激的な文面や,表現の強さレベルまで表示されているものはあまり類をみません。
とはいえ,最後のポイントのところにマスターすべき内容が書かれているので,ここを理解すればOKです。
さて,100~200語程度のeメールが解答例になっていますが,よく見ると数字付きの下線部で強調された表現がいくつか確認できます↓
これらについては解説が付いており,初回の例では10個のポイントを解説してもらえますが,すぐにでも使えそうな表現が目白押しです↓
例えば,冒頭の"I need to ask for your help"という表現は,自分も問題に取り組んでいる中で,さらに相手の協力を促すために使い,先の状況設定にあったように,プライドの高い相手を傷つけない表現です。
加えて,すぐ後に続くregarding~という表現もついでに覚えておけば,何についての話題なのかも明確にできるでしょう。
何にせよ,eメールの最初のわずか4行に5つもの工夫があったのは驚きでした。
他にも,副詞や形容詞の使い方を始め,一貫した戦略のもとで英文を書いていることがひしひしと伝わってきました。
それ以外にも,純粋にデキるビジネスパーソンの物言いといいますか,論理的で説得力のある話し方を学ぶためにも,この英文メール強化塾は役立つように思います。
問題を最小化したり,専門家の見解を利用したり,さらには相手の反論を予測した言い回しをするなど,日本語でメールを書く上でも参考になるのではないでしょうか。
まとめ
以上,TOEICの公式サイトにある「英文メール強化塾」の紹介記事でした。
無料とは思えない充実した内容で,一度学んだものは,上のような相関図をみながら,自分が普段使っているメールソフトを使って1から書き直してみるようにすると良い練習になります↓
実際に書いてみることで,解説を読むだけでは気づかなかった難しさを発見することもできるので,是非26個の解答例をすべて覚えてしまうほどに練習してみてください。
それだけでも英語のeメールで使える表現の幅はだいぶ広がります。
まとめると,本教材の魅力は書き手の意図が明確にされているところでしょう。
「ここまで戦略的に英文を書けるものなのか。」と,読んでいて毎回驚きの連続でした。
もちろん,この後は単語の勉強をしてみてもよいですし,学んだことを自分なりに実践することが大切です。
友達にメールをする際においても,「ちょっとプライドが高い相手だから,こういう言い方で連絡してみようかな。」などと試してみると,思わぬ返事が返ってきて,早速効果となって現れてきています(笑)