今回は,中村澄子著の「TOEICテスト英単語出るのはこれ!」のレビューをしていきたいと思います。
スコアアップに重要な1,150語がパート別にまとめられているという本書ですが,他の単語帳に比べてどのような点で優れているのでしょうか。
実際に使いながら,感想の方,詳しく述べていきましょう!
目次
英単語出るのはこれ!について
- 名称:TOEICテスト英単語出るのはこれ!
- 著者:中村澄子
- 収録語:見出し語のみで約1,150語
- ページ数:283ページ
- 出版:2015年
- 価格:1,980円
- 音声:ダウンロード可能
TOEIC教室を運営し,自身も講師として活躍する著者が12年間集めたデータが,この単語帳には詰まっています。
出版は2015年ですが,2018年に第6刷が出ていることからもわかるように,新形式になっても不変の,いわゆるTOEICのスタンダードな単語が収録されているのが本書です。
TOEICテストの問題は年々難しくなっていると言われますが,ビジネスにおいてよく使われる英語が対象となっていることに変化はありません。
同じ理由で,本書はすでに完成して手を加える必要はないのです。
加えて,単語と一緒に載っている例文は,本番でそのまま出題されてもおかしくなく,ビジネスシーンでも使いやすそうなものばかり。
TOEICのスコアアップに限らず,仕事で英語を使う機会がある方には特におすすめできます。
ただし,音声についてはアメリカとカナダの2ヶ国語でしか収録されていないので,新形式の英語が4ヶ国語で話されていることを考えると多少貧弱に映りますが,本書はあくまで単語帳です。
リスニング対策としてまた別に一冊やるのが普通でしょうから,そちらで対策すればOKとも考えられるでしょう。
とはいえ,アルクのキクタンのように,ちゃんと4ヶ国語で音声が収録されているものもあるわけですから,ここは1つマイナス評価としておきます↓↓
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次に本書の特徴についてみていきますが,まず挙げておきたい点はやはりパート別の構成になっているところでしょう。
全部で5章からなるのですが,「Part〇で出る単語はこれ!」という見出しが印象的です↓↓
頻度順や目標スコア別にまとまっている単語帳はよくありますが,パート別の単語帳はあまり見たことがありません。
当サイトでこれまでにレビューしたものの中では,TOEICの開発元が出版している単語帳が本書に近い構成です↓↓
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とはいえ出版された順番で言えば本書の方が先なわけで,どのような違いがあるのか次章で詳しくみていきましょう。
2つ目ですが,各パートにおいて,単語が出る順に配置されている点も特徴です。
簡単な単語から始めて,徐々に難しい単語が登場してくることで学習効果が高まるとされています。
先述の通り,こちらに関しては「出る順」などを冠する単語帳で結構目にするものです。
ここまでの特徴をまとめると,本書は「パート別かつ頻度順のハイブリッドな単語帳」となります。
先述の通り,各見出し語に付いてくる例文は良質です。
長さがどれも10語程度に抑えられているため,初心者から中級者は特に勉強しやすく感じると思いますし,もちろん,見出し語のニュアンスが理解しやすい内容になっているのは言うまでもありません。
見出し語で1,158語,派生語を合わせると1,500語程度になる本書ですが,同じ単語が違うページにおいても繰り返し出てくるので,良い復習にもなります。
それでは次章で,実際の紙面をみながら,使い勝手についてレビューしていきましょう!
本書の内容をレビュー
上記画像をみればお分かりかと思いますが,サイズは金フレのような文庫版のものに比べて明らかに大きく,キクタンよりももう少し大きいサイズなので,コンパクトさを求める方には向きませんが,一文字一文字が大きいので,座って勉強する分には学びやすいとも言えます。
基本となるレイアウトはこのような感じ↓↓
見開きページに10語が載っており,各単語最低2回はやれるようにとチェックボックスがあります。
一つの単語に意味が複数載っているものが多く,類語や派生語まで盛り沢山ですね。
ですが,例文の方はあくまで10語程度の長さを守っている点は見逃せません。
リスニングパートのものは,本番でも流れてきそうな内容に工夫されています↓↓
People are meeting face to face in a large conferrence room.(大きい会議室で人々が対面して会っている。)
上記はパート1の例文ですが,場面描写で出てきそうな内容ではないでしょうか。
逆に,リーディングパートの章に出ていた例文は,読解の文章で目にしそうなものになっていました↓↓
Our company intends to find ways to make clean energy more affordable.(わが社はクリーンエネルギーをより求めやすくする方法を見出すつもりである。)
これも問題を解く上でのヒントとなりそうな一文です。
上の画像を見ると,単語によっては「ひとこと」というコーナーが付いているものがあり,見出し語が他のパートでも出ることを表していたり,著者の経験に基づくTOEICでの出題のされ方のヒントが書かれていました。
単語の意味を隠すための赤下敷きなどは付いていませんが,古き良き学習法(間違えたらバツを付けるだけで十分といった考え)を好む方にはむしろ好都合ですね。
ちなみにダウンロードできる音声は,見出し語→例文の順に吹き込まれており,見開きごとにトラックが分かれていました↓↓
なお,男性アメリカ人と女性がカナダ人が,章ごとに見出し語または例文のどちらかを担当するので,全部通して聞くと,同じくらいの量のアメリカ英語とカナダ英語を聴けたことになるといった構成です。
なお,重要語は繰り返し出てくると言いましたが,例えばobservationは本書で3回出てきました↓↓
この索引にある単語のうち,左の黒太字で示した単語(例えばoで始まる単語であれば,objectiveやobligation)は見出し語であることを表しており,赤字は見出し語としての登場ページを示しています。
つまり,observationは80ページで見出し語として出てきますが,209ページや215ページでは派生語または類語として繰り返し触れられるということです。
これは215ページの様子ですが,observationはremarkの類語として出てきていることがわかります↓↓
また,最初は簡単だと感じた見出し語ですが,頻度順で並んでいるわけですから,各パートの最後の方ともなると,難度がずいぶん上がったように感じました。
以下はパート7に出てくる単語の例ですが,結構難しくありませんか↓↓
ここまでわかれば,もはや中上級者レベルですよね。
まとめ
以上が,TOEICテスト英単語出るのはこれ!のレビューとなります。
TOEICがビジネスシーンでの英語習熟度を測るテストである以上,テストの形式に関係なく押さえておきたい重要語が学べる,いつの時代でも使える英単語帳だったのではないでしょうか。
著者である中村澄子さんの10年以上の受験経験を生かし,単語はパート別にまとまっていて,例文はまさに該当のパートで出題されそうな内容に工夫されていたので,実際の公開テストを意識しながら読むことで,試験における出題のされ方についての理解を深めることができました。
さすがTOEIC講師を長く務めているだけあって,簡単な単語から始まりだんだん難しいものになっていくところや,同じ見出し語が複数個所に登場することなど,学習効率を高める工夫が随所に見て取れます。
もっとも,構成的には赤シートも付いていなければ途中のコラムなどもなく,1つの単語につき複数の意味と,派生語や類語までまとめて載せるという,例文以外ではまったく楽を許さない大変硬派な単語帳でした。
ですが,だからこそ,派生語や類語まで全て学びきった暁には確かな英語力が身に付いていることが容易に想像できます。
「長い時間勉強するなんて無理!楽にパッと学んでいきたい!」という方には不向きですが,腰を据えて真面目に毎日コツコツ学べる方には大変おすすめできる単語帳だと言えるでしょう。
興味のある方は,是非購入してみてください↓↓
最後までお読みいただきありがとうございました。