今回の記事では,短期間でTOEICテストの得点力を高められる「出るとこ集中10日間シリーズ」から,「読解編」のレビューをしていきましょう!
これまでにレビューしたリスニング編や文法編は八島晶氏が著者でしたが,今回の読解編は渋谷奈津子氏が執筆しています。
難度が高く,問題を解くだけでも大変なPart7ですが,本シリーズの特徴である取り組みやすさのおかげで対策本の1冊目として解くのにおすすめです。
それではレビューの方,始めましょう!
もくじ
出るとこ集中10日間の読解編とは

基本情報
書名:出るとこ集中10日間!TOEICテスト読解編
著者:渋谷奈津子
出版:西東社
ページ数:208ページ
初版:2017年9月
価格:1320円
目標スコア:600点以上
青色で落ち着いた色合いの表紙からも,カラフルでイラスト多めの雰囲気を感じ取ることができますが,想定されている読者層は600点を目標とする方となっています。
著者の渋谷奈津子氏ですが,企業や大学でTOEIC対策講座などを担当し,L&RとS&Wテスト共に満点を取得しており,著書もアルクやジャパンタイムズ社などから数冊出しており,信頼と実績を兼ね揃えた方です。
そもそも,本書が対象とするPart7は苦手とする人が多く,時間内に解ききれない学習者も多いと思われます。
そこで,渋谷氏のようなTOEICのプロに即効性のある対策を教えてもらうことができれば,特にこれまで対策をしていなかった人ほどスコアはだいぶ伸びるでしょう。
以下は本書の目次の一部ですが,これまでの同シリーズ本と同様,10日間のうちの9日をかけてPart7攻略のコツについて学び,最終日に総復習を兼ねた練習問題を解いて完成させる構成です↓

10日間で20個の攻略のツボ(即効性のある攻略法)を習得することが可能ですが,基本的な攻略方針は「解ける問題を1問でも多く見つけては正解する」というものです。
しかし,自分が解ける問題とは一体どのようなタイプのものなのでしょうか。
もちろん,それについては本書で詳しく解説されることになりますが,「問題文(読むことになる文)」と「設問」の両面から自分の得意・不得意を判断していきます。
Part7の問題文ですが,どこぞの会社の請求書であったりEメールだったりと,内容は毎回異なっていても,形式的にはこれまでと同じものが繰り返し出題されているわけです。
まずは9つのタイプがあることを知り,自分の得意なものがどれなのかを探ってみましょう↓

設問に関してもいくつかの種類に分けることができ,それぞれに以下のような傾向があることが知られています↓

これまでにかなり対策を重ねた方であれば「ああ,あの問題ね」と思う内容ですが,知らない人にとっては大きな学びです。
この他,シングルパッセージやマルチプルパッセージの出題比率などについても紙面が割かれており,より俯瞰的な視点でもってPart7の理解を深めることができます。
いずれによ,問題のタイプごとに時間がかかったり取り組みにくかったり,逆に簡単に解けてしまったりする傾向が見られるわけですから,まずはそういった問題の違いについて見分けるところから始めましょう!
そして本書内の演習を通じ,自分だけの得点パターンを構築してしまえば,解けるか解けないかの判断がより簡単にできるでしょう。
読解編を用いた勉強法について

本書で推奨されている勉強法ですが,以下の通りとなります↓
- 例題を解いて解答の流れを確認する
- 確認問題で実践する
- 正しい手順を踏めたかを確認する
- 英文を精読し英語力自体をアップさせる
先ほど,本書を使う目的は,解ける問題をいち早く見つけることだと述べました。
実際,攻略法の授与が目立ちますが,上の手順4にあるようにそもそもの英語力自体をアップさせることも目的の1つに入っていることは忘れてはいけません。
王道を行く学習体験が十分に可能で,Part7に関して上級者が行う方法について言及されることもありました。
もっとも,「それを選ばない方がいいでしょう」といった立ち位置を取るのが本書なので,あえてそこを深掘りすることはないことを覚えておきましょう。
肝心なのは,自分について知り,最も得点率が高くなる方法でPart7を攻略することです。
それでは,次章においてDay1のトレーニング内容を例にみながら,実際に何をやることになるかについて具体的にみていくことにしましょう!
1~9日目のトレーニング内容

読解編の1日目ですが,ピンポイント情報を問う問題を取り上げます。
今回は2つですが,大体1日あたり2~3個の攻略のツボを学んでいく感じです。
1つ目の攻略のツボは「日付や固有名詞を問われた際,いち早く解答のヒントにたどり着く手法」でした↓

何も知らなければこの問題,全文読んでしまうところですが,質問と選択肢に先に目をやって,締め切り日を問われていることを前もって把握しておくことで,「Bridges Steakhouseのdeadlineを見つけよう!」と明確な目標意識を持った状態で本文を読むことができるようになります。
そして,ステップ2にあるように,このステーキハウスがClientであること,そして,一番下にあるDue byという語句を見つけられさえすれば,そのままApril 7が答えになることがわかるわけです。
解き方の説明で書かれている「日付は言い換えられることがほとんどない」という事実も頭に入れておけば,より迷いなく選択できるようになるでしょう。
ページをめくった左には,全訳と覚えるべき単語がまとめられており,右には「さらに詳しく」というコーナーが設けられていました↓

選択肢を見て日付や固有名詞を確認しては,素早く答えを見つけるための目の動かし方が実践でき,チラシで曜日を見つける場合は別の例文で理解を深めることが可能でした(hands-onはTOEICでよく出てくる単語で,「実地の;実際に触れられる」といった意味です)。
同様に攻略のツボ2も学んだら,確認問題でその日のまとめをしましょう↓

こちらの解説には和訳や語句が載っている以外に,どのような手順で答えに至るのかについての方法が詳しく書かれているので,同じ導き方ができたかどうかを確認してください↓

色が付いているので見やすいですし,イラストからは取り組みやすい感じを受けます。
特に便利だったのは,各日の最後にまとめられている「テーマ別頻出フレーズ」です↓

こういった単語に慣れ親しんでおくことで,試験本番での理解度が大きく変わってきます。
もちろん,扱った文書についてもよく復習して,形式や単語に慣れておきましょう。
10日目の直前練習問題について

初日から9日目までは前章に述べたような感じで同じように進めますが,最終日のDay10では「直前練習問題」を解くことになり,全31問が用意されています。
これまでに身に付けた攻略のツボのいずれかで解けるものになっているので,これまでの総復習だと思って取り組み,目標点である20点を突破してください!
なお,こちらの解説においても解答に至るまでの考え方が丁寧に書かれていて,和訳や語句まとめの他,どの攻略のツボを参照したらよいのかも明確です。
復習する際に大変重宝するでしょう↓

その他,当記事で紹介できなかったものとして,リーディングセクションのおすすめの時間配分であったり,緊張しない方法やはたまた600点取得のための正解数目安など,読み物として役に立つ情報も数多く見受けられました。
これらを踏まえると,本書に掲載されている知識の幅はだいぶ広く,一冊から多くを学べてコスパに優れる一冊と言えるのではないでしょうか。
まとめ

以上,渋谷奈津子氏による,出るとこ集中10日間!TOEICテスト読解編のレビューでした。
Part7というTOEIC最大の壁を「解ける問題」もとい「勝てる問題」を素早く探し出すことで効率良く得点していく攻略法は大変実践的で理にかなっています。
さらに本書は,試験における心がけやTOEIC全般の時間配分や目標正答数なども掲載し,トータル的な対策も可能になるわけです。
Part7の全訳や語句のまとめを最大限に利用し,自分の英語力そのものをアップさせることができればこれまでより速く読めるようになったり,Part4のリスニング問題のスコアも高めることが期待できるでしょう。
10日間という短期間で読み終えられる本書ですが,何度も復習して長い付き合いにすることもできるのでコスパが悪いわけではありません。
本書で理解を深めて,さらに時間に余裕があれば,当サイトでおすすめしているアプリや参考書も使ってみましょう↓
本レビューがみなさまのお役に立てることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。