今回の記事では,短期間でTOEICテストの得点力を高められる「出るとこ集中10日間シリーズ」から,「読解編」のレビューをしていきましょう!
これまでにレビューしたリスニング編や文法編は八島晶氏が著者でしたが,今回の読解編は渋谷奈津子という女性の方が執筆しています。
難度が高く,問題を解くだけでも大変なパート7ですが,本シリーズの特徴である取り組みやすさのおかげで1冊目におすすめです。
それではレビューの方,始めましょう!
目次
出るとこ集中10日間の読解編とは
- 書名:出るとこ集中10日間!TOEICテスト読解編
- 著者:渋谷奈津子
- 出版:西東社
- ページ数:207ページ
- 初版:2017年9月5日
- 価格:1,320円
- 目標スコア:600点以上
青色で落ち着いた色合いの表紙を見ただけでも,カラフルでイラストの多い雰囲気を感じ取ることができますが,主な対象者として,600点を目標とする受験者が想定されています。
著者の渋谷奈津子氏ですが,企業や大学でTOEIC対策講座などを担当し,L&RとS&Wテスト共に満点を取得しており,著書もアルクやジャパンタイムズ社などから数冊出しており,信頼と実績を兼ね揃えた方です。
そもそも本書が対象とするパート7は苦手とする人が多く,時間内に解ききれない学習者も多いと思われます。
そこで,渋谷氏のようなTOEICのプロに即効性のある対策を教えてもらうことができれば,特にこれまで対策をしていなかった人ほどスコアはだいぶ変わってくることになるでしょう。
以下が本書の目次の一部になりますが,これまでの同シリーズ本と同様,10日間のうちの9日をかけてパート7攻略のコツについて学び,最終日に総復習を兼ねた練習問題を解いて完成させる構成です↓↓
本書では10日間で20個の攻略のツボ(即効性のある攻略法)を習得することが可能ですが,基本的な攻略方針は「解ける問題を1問でも多く見つけては正解する」というものです。
ところで,自分が解ける問題とは一体どのようなタイプの問題なのでしょうか。
もちろんそれについては本書で詳しく解説されるわけですが,簡単にまとめると,「問題文(読むことになる文)」と「設問」の2つの面から自分の得意・不得意を判断していきます。
パート7の問題文ですが,どこぞの会社の請求書であったりはたまたEメールであったりと,内容は異なるものの,形式としてはこれまでと同じものが繰り返し出題されているわけです↓↓
まずは上の9つのタイプについて学び,自分の得意なものを知りましょう。
そして次に設問においてですが,こちらは以下のような傾向があることがわかっています↓↓
これまでにかなり対策を重ねた方であれば「ああ,あのことね」と思う内容です。
この他にも,シングルパッセージやマルチプルパッセージの出題比率などについても紙面が割かれており,より俯瞰的な視点でパート7そのものの理解を深めることができます。
いずれによ,こういった各タイプの問題に対して,時間がかかったり取り組みにくかったり,逆に簡単に解けてしまうような傾向が統計的にある程度判明しているわけですから,まずはそういった問題ごとの違いについて見分けられるようになりましょう!
そして本書における演習を通じ,自分だけの得点パターンを把握してしまえば,解けるか解けないかの判断精度をより高くすることができるわけです。
読解編を用いた勉強法について
ちなみに,本書で推奨されている勉強法は以下の通りとなります↓↓
- 例題を解いて解答の流れを確認する
- 確認問題で実践する
- 正しい手順を踏めたか確認する
- 英文を精読し英語力自体をアップさせる
先ほど,本書の目的は解ける問題をいち早く見つけることだと言いました。
確かに攻略法の授与ばかりが目立つのですが,上の手順4にあるようにそもそもの英語力自体もアップさせられることも目的の1つになっているわけです。
王道を行く正統派な学習も十分にできるだけでなく,パート7に関して上級者が行うような方法についても言及されており,ただ「それを選ばない方がいいでしょう」といった立ち位置なわけですから,あえてそこを頑張ってみることだってできてしまいます。
結局,自分について知り,最も得点率が高そうな方法でパート7を攻略するのが本書の方針ですので,その点,誤解無きようお願いします。
それでは次章においてDay1のトレーニング内容を例にみながら,実際何をやるのかについての具体的なイメージ付けをしていくことにします。
1~9日目のトレーニング内容
読解編の1日目ですが,ピンポイント情報を問う問題を取り上げます。
今回は2つですが,大体2つ3つの攻略のツボを学ぶ感じです。
1つ目の攻略のツボでは「日付や固有名詞を問われた際,いち早く解答のヒントにたどり着く手法」について紹介していました↓↓
何も知らなければこの問題,全文読んでしまうところですが,質問と選択肢に先に目をやり締め切り日を問われていることを前もって把握しておくことで,「Bridges Steakhouseのdeadlineを見つけよう!」と明確な目標意識を持った状態で本文を読むことができるようになります。
そして,ステップ2にあるように,このステーキハウスがClientであること,そして,一番下にあるDue byという語句を見つけられさえすれば,そのままApril 7が答えになることがわかるわけです。
解き方の説明で書かれている「日付は言い換えられることがほとんどない」という事実も頭に入れておけば,より迷いなく選択できるのではないでしょうか。
ページをめくると左には全訳と覚えるべき単語がまとめられており,右には「さらに詳しく」というコーナーがあります↓↓
選択肢を見て日付や固有名詞を確認しては,素早く答えを見つけるための目の動かし方であったり,チラシで曜日を見つける場合などは別の例文で理解を深めることが可能です(hands-onはTOEICでよく出てくる単語で「実地の;実際に触れられる」といった意味です)。
同様に攻略のツボ2も学んだら,確認問題でその日のまとめをしましょう↓↓
こちらの解説では和訳や語句が載っている以外に,どのような手順で答えに至るのかについての方法が詳しく書かれているので,同じ導き方ができたかどうかを確認してください↓↓
色が付いているので見やすいですし,イラストからは取り組みやすい感じを受けます。
さらに便利なのは,各日の最後にまとめられている「テーマ別頻出フレーズ」です。
こういった単語に慣れ親しんでおくことで,試験本番での理解度が大きく変わってきます。
もちろん扱った文書についても復習しては,形式や単語に慣れておきましょう。
10日目の直前練習問題について
初日から9日目までは前章に述べたような感じで進みますが,最終日のDay10では「直前練習問題」を解くことになり,全31問が待ち構えています。
これまでに身に付けた攻略のツボのいずれかで解けるものになっていますので,これまでの総復習だと思って取り組み,目標点である20点を突破してください!
なお,こちらの解説においても解答に至るまでの考え方が丁寧に書かれていて,和訳や語句まとめの他,どの攻略のツボを参照したらよかったのかまで書かれているので,復習する際に大変重宝するでしょう↓↓
その他,本記事で紹介できなかったものとして,リーディングセクションのおすすめの時間配分であったり,緊張しない方法やはたまた600点取得のための正解数目安など,読み物として役に立つ情報も数多く見受けられました。
そう考えると本書から学べる知識の幅はだいぶ広く,一冊から多くのことを学べてコスパにも優れる一冊ではないでしょうか。
まとめ
以上,渋谷奈津子氏による,出るとこ集中10日間!TOEICテスト読解編のレビューでした。
パート7というTOEIC最大の壁を「解ける問題」もとい「勝てる問題」を素早く探し出すことで効率良く得点していくという本書の方針は大変実践的で理にかなっています。
さらに本書ではそれだけに留まらず,試験における心がけや,TOEIC全般の時間配分や目標正答数などを知ることでトータル的な対策もできてしまうわけです。
もちろんパート7の全訳や語句のまとめを最大限に利用し,自分の英語力そのものをアップさせることでこれまでよりも速く読めるようになったり,パート4のリスニング問題のスコアまで高められることが期待できるのも,読解問題を集中的に対策する魅力でしょう。
10日間という短期間で使用できる本書ですが,何度も復習して長い付き合いにすることもできるのでコスパも悪くありません。
本書で理解を深めて,さらに時間に余裕があれば当サイトでおすすめしているアプリや参考書を使ってみてください↓↓
本レビューがみなさまのお役に立てることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。