今回は,関正生先生の著書である世界一わかりやすいシリーズから「Part1-4リスニング」のレビューをしていきたいと思います。
同シリーズの中でも特に不動の人気を誇る本書ですが,一体どのような特徴があるのでしょうか。
まずは大まかな特徴について述べることから始め,各パートごとに1つ1つレビューしながら,その人気のワケに迫ってみることにします。
目次
世界一わかりやすいリスニングの特徴
- 名称:世界一わかりやすいTOEICテストの授業[Part 1-4 リスニング]改訂版
- 著者:関正生
- 出版社:KADOKAWA
- ページ数:286ページ
- 付属品:CD2枚
- 対象:初心者~800点の方
もともと同名の書籍が出ていましたが,2016年5月実施分以降の新形式問題を加えて加筆修正したものが,今回の改訂版です。
TOEICの参考書は,初心者~600点くらいのレベルとそれ以上のもので分冊になっているものが多いですが,本書は初心者から800点レベルの方まで幅広く対応しており,初心者の方ほど長く使うことができます。
本書の特徴ですが,
- 英語が聞き取れることを前提にしていない
- 実戦的な内容が多い
- 解説に割いたページが多い
という3点です。
リスニングの対策本では,放送された英文を学習者側がほとんど聞き取れることを前提に解説が付くものが多いですが,本書では,「そもそもどうすれば英文を聞き取れるようになるか」についての説明が多く盛り込まれています。
また,解説ありきで音声をそれに合わせて作るような「ご都合主義的な設計」ではなく,著者自体が本番の音声を聞いた上で原稿を執筆したということで,具体的で実戦的な解説がなされているのが特徴です。
関正生先生の書籍でおなじみの,独自視点による豊富な解説もお楽しみに。
それでは次章から,実際のページを使って詳しく内容についてみていきましょう!
パート別に中身をレビュー
世界一わかりやすいリスニングの目次ですが,上のようになっています。
普段は読み飛ばしてしまいがちな本文前の内容(p.1~23)においても本書の特徴は色濃く表れており,弱形の説明であったり,重要単語の一覧がまとめられていました。
先述の通り,英語音声が聞き取れないことを前提として書かれているので,その要因の1である「弱形」についての解説にしっかりと紙面が割かれています↓↓
強形と弱形のどちらもCDで聴けて比較できるので,この部分からだけでも本書が他の参考書と違うことが伝わってくるはずです。
リスニングでよく出てくる重要単語についてもまとめられているので,こちらも音と意味とを一致させておいてください↓↓
CDによっては英語の後に日本語が収録されているものもありますが,本書は英語だけが聞こえてきます。
私はこちらの仕様の方が好みです。
Part1対策
各パートの最初には出題内容の簡単な説明と,目標スコアに応じた目標正解数が書かれているので参考になります↓↓
もちろん出題に関しては,次ページでより詳しい説明がありますのでご安心ください↓↓
これまでがSTEP1の内容でしたが,次のSTEP2において,関先生ならではの独自攻略ポイントが解説されます。
受験者が感じている疑問に答える形の形態になっていますが,別の参考書で言われているような定説が平気で覆されるのが興味深かったです↓↓
このような説明を通して理解を深めたら,いよいよ例題に取り掛かりましょう!
パート1の問題数は5問あり,見開いた際に問題と解説が一緒のページにならないように工夫されていました↓↓
写真の左は例題1の解説になっており,右は例題2の問題です。
解説も和訳と正解の理由が載っているだけではなく,予備校の授業のような詳しい解説が加わっていて応用知識も身に付きます。
例題を通して学んだ攻略法は,すぐさま演習問題を使って復習するのが本書共通の流れです↓↓
ちなみに,Part1の演習問題は全10問。
この演習問題の説明も詳しく,関先生によるTOEICあるある話が語られています。
Part2対策
Part2は最初に学んだ「弱形」の知識が生きるパートです。
STEP1で問題概要,STEP2で定説を覆した後,STEP3というのがあり,ここで各パートの攻略法を徹底的に学ぶことになります(Part1では省略してしまいました)↓↓
まずは各パートについての攻略法だけ,パッと読んでしまうだけでも,だいぶTOEICスコアに影響しそうな内容だと言えるでしょう。
Part2の出題はどれも同じで,写真などがあるわけでもないのですが,解説と問題を見開きにするというポリシーからか,以下のように余白が多めのレイアウトになっていました↓↓
ちょっともったいないような右ページの使い方ですが,印象的には単純にわかりやすいので,あながち悪いとは言えないのかもしれません。
ちなみに上の問題では,「Why~?」で尋ねられた際の返答を問われていますが,これについての関先生の解説は,
Becauseが最もポピュラーな返答のように思いますが,中学で習うTo不定詞(目的を表す副詞用法)で答える場合もありますし,普通の文による返答が頻度としては1位です(参考:本書72ページ)
と,実際に公開テストを受け続けてきた関先生の経験がしっかりと反映されていることがわかります。
例題は7問ですが,演習問題は30問となかなかの量です。
ここまでで付属CDの1枚目(44分で61トラック)が終わりました。
Part3対策
「Part3は先読みが必要!」とは多くの対策本に書かれていますが,本書ではさらに詳しい先読みのやり方についての理解を深めることができます。
もちろんすべてのコツを身に付けるのが一番ですが,本番までの時間が限られている場合,特定のパートやコツだけに絞って練習してみてください。
なお,Part3を特に重要視しているのか,紙面としてはPart1や2の3倍程度が割かれていました。
1つのスクリプトについて,発音や重要事項に絞った解説があるだけでなく↓↓
正答にたどり着くためのコツに絞った解説があったり(余談ですが,話者の国籍も明示されています)↓↓
さらには和訳と語句のまとめページといった具合に,全部で3つの視点で解説が行われていたので,各々において別の気づきが得られるはずです↓↓
例題の数は8,演習問題は13題あり,1題につき3つの質問がなされます。
Part4対策
「すべての英文を集中して聞く。」
本書にあったこの教えを実践するだけで,だいぶPart4のスコアが上がったように感じます。
Part3と4の解説が一緒くたにされている参考書もたまに見かけますが,本書では別々に解説されていました。
Part3に引き続き,Part4の解説も大目に割かれているので,これらパートが苦手な人には嬉しい仕様です↓↓
参考までにページ数をまとめておくと,Part1は34ページ,Part2は56ページ,Part3は94ページ,Part4が79ページほどになります。
CD2枚目の収録時間についても77分と多めでした。
まとめ
以上,関正生先生の世界一わかりやすいシリーズからリスニング編のレビューでした。
学習者の立場に寄り添った親切かつ丁寧な説明があることに加えて,著者ならではの独自視点による解説や使い勝手に優れた参考書であることがわかっていただけたのではないでしょうか。
なお,本書の裏表紙をみるとわかるように,この世界一わかりやすいシリーズは本書以外に,文法編と読解編,そして英単語を扱う3冊がある他,「スタディサプリENGLISH」というオンライン教材においては彼の講義動画まで確認できてしまいます。
これは「パーフェクト講義」という名前で知られますが,テキストも販売されている上に中身は本書とほぼ同一ですので,もしアプリを使ったトレーニングに興味がある方は,そちらの方がおすすめです。
リスニングは最も伸ばしやすく得点源になる大切なパートですので,本書などを使って是非得意にしてください。
あれこれ手を出すよりも,決めたものを何回も復習する方が結果は良いことになると思います。
当サイトのレビューも参考に,自分が実際に復習したい気持ちになれる参考書を探してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。