今回は,TOEICの全パートの演習が可能で完全無料で使えてしまう,「Life BC社のTOEIC対策アプリ」をレビューしてみたいと思います。
TOEIC対策アプリにおいては,読解問題の対策が不十分なものが多いのですが,こちらは模試までがすべて揃っていておすすめです。
ただし,無料アプリゆえの弱点があるのが事実ですが,使用目的を絞ることで上手に利用することも可能なので,ぜひ今回のレビューを参考にしていただけたらと思います。
目次
Life BC社の「TOEIC Test」とは
名称:TOEIC New Format, TOEIC Test, TOEIC Practice
提供:Life BC
料金:完全無料
DL:Android版のみ
内容:TOEICに似た形式の問題を解くことができるTOEIC対策アプリ。問題量もなかなかで,数千問の演習問題がある。問題はダウンロードが必要になる分,外出時にオフラインモードで使用することが可能。操作も特に複雑な部分はなく使いやすい。基本的に無料で使えるので,とりあえずTOEICの問題がどんなものか知りたい場合におすすめ。
もともとは別の名前のアプリがありましたが,2021年には新形式に対応した新バージョンと完全に置き換わる形となりました。
旧版は3万件以上のダウンロードがあり,評判の良いアプリでした。
何より,TOEICの全パートの問題が無料で解けるというのはとても良いことですし,Wi-Fi環境で問題をダウンロードしておけば,外出時に不本意なデータ使用が発生しないというのも安心だと思いました。
とはいえiOS版がなくAndroidのみの展開というところがiPhoneユーザーには残念なところですし,スタディサプリのような有料アプリと比べてしまえばいくつか見劣りする点があるのも確かです。
このような日本語が出てくるあたり,日本製のものでないことは明白でしょう↓
ゆえに,各自の使用目的によって評価が変わってくるアプリと言えるでしょう。
アプリの評判
現在のものはローンチから日が浅いこともあり,レビュー数は250件ほどと少ないですが,旧アプリには2021年3月時点で6676件のレビューが寄せられ,そのほとんどが高評価だった上,2年間かけて4000件以上のレビューが寄せられたというのも,多くの方に興味を持たれた証拠となります(ずっと星4.7程度の評価を受けている優良アプリです)。
ここではまず,ユーザーのレビューを見ながら本アプリの良い点と悪いところをまとめてみましょう。
良い口コミ
- 全パートの問題がDLできて驚き
- 問題量が充実している
- 200問通しての練習も可能
- リスニングで全文が表示される
- Google翻訳とも連動している
- 難易度が程よく使いやすい
無料アプリだということで最初は期待せずに使ってみたのですが,まさかの全パート対応だったことと問題量の豊富さに驚かされました。
ダウンロードは問題ごとに行えて,メニューの「ダウンロードマネージャー」から個別にデータ削除をすることもできるて便利です。
とりあえず,TOEICを受けることになったけれど,今の実力で勝負できれば十分だし,とりあえず試験形式だけなんとなく知っておけばいいやというモチベーションの受験者にはピッタリではないでしょうか。
全員が全員,完璧な教材の対策を望んでいるわけではありませんからね。
とはいえ,フルサイズの模試が5回分収録されているのも魅力です。
加えて,Google翻訳というアプリを別にインストールすることで,日本語訳を表示することもできます。
作成者が日本語が堪能でなくても,このような工夫をすることで多くの言語に対応できるというわけですね。
悪い口コミ
- 解説がない
- 1問ごとの解答チェックは不可
- 音質がいまいち
- 読解をスマホでのみやるのは辛い
- 広告が邪魔
なぜ課金要素なしに提供できるのか考えてみましたが,英文の解説を省いては訳をAI(Google翻訳)に任せきりにしている点に加え,広告表示による収益化が期待できるからだと思われます。
そしてそれはそのままマイナス評価となり,解説が用意されていないところには特に注意が必要です。
「正解の選択肢さえわかれば,今ある知識で正解への根拠づけがしっかりできるよ」という方でなければ,とりあえず丸付けまでをしっかり行えるアプリだと考えてください。
無料で使っている人は,広告が全画面表示されてくることもあって,人によっては気になるでしょう。
特に音が出てくる広告には,私も煩わされました。
加えて,使い勝手の面では有料アプリにはかないません。
アプリの使い方
アプリを開くと以下のような画面が表示されてきました↓
ここに表示されている7つの項目は,実際のTOEICにおけるパートと対応しています。
なお,パート番号の下には問題の特徴が簡潔に書かれており,例えばパート1は写真描写問題なのでPhotographsです。
この中から自分が挑戦してみたい問題を選んで解くことが可能です。
それでは,パートごとに使い方をみていくことにしましょう!
パート1
パート1にあるコンテンツをクリックするとダウンロードが始まりますが,特に時間はかかりません。
全部で25個のダウンロード素材があり,その一つ一つに6問の問題が入っています。
音質はスタジオ録音のものと比べると劣りますが,許容できないほどではありませんし,良い音質で勉強したからといって,より聴き取れるようになるわけでもないので,学習効果には影響しないでしょう。
本番同様,問題は1回ずつ読まれ,フリックしながら進めていきます。
途中で音声を止めることもできますが,左上部の計測時間は刻一刻と流れ続けますが,最初から最後まで一気にやるというのが,このアプリの基本姿勢です。
最後まで解き切って答えを提出すると,即座に正誤表が表示されてきます↓
間違えた問題にはバツが付きますが,英文をタップすることで日本語訳や発音などを別に確認することもできました↓
上の問題では,受動態の進行形であったり,coatsとcordsという似た音を使った選択肢が用意され,TOEICをよく知った人が作っていることがわかりますね。
ただし,解き方の指針であったり,どうしてその答えになるのかといった解説まではありません。
パート2
TOEICのパート2はQuestion and Response方式です。
音声を聞いて答えを選ぶだけの形式ですが,全部で問題は15セットあり,各セットに25問が含まれます。
こちらも問題数は本番と同じで,演習量としては全部で375問ですね。
こちらもパート1と同様,問題を一気に解いて,本文と選択肢を確認するという流れになります↓
大体1セット10分程度で終わるので,3時間もあれば全部やれるでしょう。
速習する場合にも良いですね。
話者については,新形式になると国籍の違いによる訛りが問題に出てくるようになりましたが,本アプリでも確かに話者が頻繁に変わり,頻度に関しては判断しかねますが,イギリスや米訛りは確認できました。
パート3
パート3はConversationsの問題です。
こちらは10セットで各39問なので,計390問が用意されていることになります。
問題の本文は以下のように表示され,しっかりと音声と聴き比べながら確認できるのも良かったです↓
心なしか,音声はこれまでのものよりもクリアに聞こえるものが多かったように思いました。
一般的に,パート3を攻略するには時間管理が大切で,問題の先読みをしておくことこそが高得点のポイントだとされます。
高スコアを保有する人で,このテクニックを使わない方はいないでしょう。
しかし,そのような知識は本アプリから得ることはできません。
よって,問題形式に慣れるだけならともかく,スコアアップにこだわる方は,スタディサプリなどの有料アプリも併用して,各パート別の攻略法を学ぶことをおすすめします。
パート4
パート4対策はShort Talksで行い,画面構成はConversationsとほぼ同じです。
全部で10セット,各30問は計300題の用意があります。
本パートの特徴として,一つのテーマについて長々と論じられることになり,時間も15分程度かかってしまうので,自宅などで腰を落ち着けてやる必要がある点には注意が必要でしょう。
なお,本文のスクリプトはGoogle翻訳が利用できません↓
実際,この長さの文章ともなると自動翻訳は辛くなってくるので,本文を見ても日本語の意味がわからないような方には本アプリは不向きでしょう。
パート5
パート5は文法問題です。
Incomplete Sentencesと書かれた学習コンテンツを使って対策しましょう。
リーディングセクションは制限時間の設定が可能で,本文の場合,10~30分の間で変更することが可能です。
また,20セットで各30問の計600問の演習量はなかなかのボリュームだと言えるでしょう。
ただし,真に英語力を上げたければ,間違った問題がどうしてダメだったのかという根拠を説明できなければなりません。
Google翻訳だけではそれを行うことができないので注意してください↓
この問題の選択肢としてanyoneとeveryoneがありますが,anyoneがダメな理由はわかるでしょうか。
anyoneは無数の人の中から「誰でも」という意味ですので,避難訓練している「誰もがみんな」という意味にはなりません。
パート6
次はパート6のText Completionをやってみましょう。
こちらは10セットで,各16問が用意されていますので計160問です↓
制限時間は5~20分の間で設定できます。
各英文につき3問あるので,1回のセットで読むことになる英文は4つとなります。
なお,パート4のときなどと同様,英文読解の長文に関してGoogle翻訳は利用できません。
また,解説もないので,例えば上の1問目の文法問題では現在分詞の用法を知らなければ,いくら日本語訳を読んだところで正解を選ぶ根拠を理解することはできないでしょう。
もちろんGoogle翻訳が素晴らしいサービスであることに疑いはありませんが,それだけではTOEIC対策には不十分だということです。
パート7
最後は,長文問題であるパート7のReading問題についてみていきましょう!
こちらは全部で10セットあり,各セットに54問が含まれているので,問題数にしてみると540題になり,こちらも決して少なくない量です。
制限時間は45~70分の間で設定できますが,レイアウトがなかなかに考え抜かれていてスマホでも使いやすく,意外とストレスなく長文問題を解けました↓
挑戦するたびに問題の順番が変わったりはしないので,一部分だけやって答えを提出してしまってから答え合わせをする使い方をしていますが,それでもなかなかの集中力を必要とするのは事実です。
とはいえ,パート7ではシングルパッセージ(1つの英文に2~3個の質問)の他にマルティプルパッセージ(2~3つの英文に4~5個の質問)がありますが,その点についても抜かりなく用意されているところはすごいと思いました。
模試
本アプリには模試の用意も計5回分用意されています。
これまでは各パートごとに解く形でしたが,途中休むことなく2時間ぶっ通しで解くことが可能です。
解き終えると,自動で採点され予想スコアまで出てくる仕様なので,大変ありがたいと感じることと思います↓
問題の形式についてはこれまでに紹介してきたものと同じです。
まとめ
以上,Life BC社のTOEIC対策アプリのレビューをしてきましたが,いかがだったでしょうか。
Androidのみの対応ということでユーザーを選びますが,無料で全パートの対策ができるところが良かったように思います。
特にリスニングセクションにおいては,十分な対策ができるように感じました。
逆に読解問題においては,「どうしてその答えになるのか」の説明(解説)がないところが残念で,単に自分の実力を知ったり問題慣れする目的であれば良いのですが,このアプリだけで読解力を向上させることまではできません。
とはいえ,フルサイズのテストも利用でき,本番でどのくらいの点数が取れそうかの目安になるでしょう。
ただし,高スコアの取得に必要な先読みのテクニックや「パート7は後ろの問題から解いていくのも手だ」といった攻略法に関する解説はないので,本アプリで学べることだけがTOEIC対策のすべてだとは思わないでください。
高スコアを目指すにはしっかりとした教材を使いましょう。
総括すると,Life BC社のTOEIC対策アプリは,
- TOEICの問題に慣れたい方
- 解説はなくても正解がわかればよい方
- とにかく無料で対策したい方
に向いています。
最後までお読みいただき,ありがとうございました。