今回ですが,「ELSA Speak」というスマホアプリを使って,英語の発音について学ぶ際の方法についてみていきましょう。
トレーニングメニューの他,有料版と無料版の違いについてもまとめていきます。
目次
ELSA Speakとは
ELSA Speakは,英語の正しい発音やアクセント,そしてイントネーションについて学べるアプリです。
正しい発音ができるようになると,リスニングできる音の幅が広がる他,TOEIC S&Wテストや英語検定にみられるように,アクセントやイントネーションが直接,採点される試験もあります。
創設者はVu Vanというベトナム人の方で,スタンフォード大学で経営学と教育学の修士号を取っている優秀な方ですが,留学した際にうまく英語が伝わらなかった経験が開発のきっかけとなっています。
第1言語が英語でない日本人も,きっと彼女と同じような問題に悩むことでしょう。
そんな彼女がXavier Anguera博士の協力を仰いで2015年に立ち上げたのが,今回のELSA Speakとなります。
その2年後にはAIアプリのTop15の中に選ばれたり,スタートアップの3億円以上の活動資金を得るなどし,日本部署ができたのは2020年のことです(本部はサンフランシスコにあります)。
2022年4月現在,100ヶ国以上に1300万人のユーザーがいるということで,世界的に指示されている発音アプリだと見なせるでしょう。
App Storeの評価もみてみましたが,4万人のユーザーが「4.8」という高評価を付けています。
ELSA Speakの大きな特徴としては,
- 自分の発音を判定してもらえる
- 英会話表現が学べる
- カリキュラムが自動で組まれる
- 毎日10分の学習で継続しやすい
- 勉強記録が残る
点が挙げられますが,詳しい使い方については次章で紹介することにして,ここでは判定の精度や学習効果についてみてみましょう。
肝心の判定はAIが自動で行いますが,かなり正確です。
sとzやlとrの区別がされる他,あいまい母音とアクセントのある母音まで区別されます。
結果は「正しい(Correct)・ダメ(Incorrect)・ほとんど正しい(Almost correct)」の3段階で表示されてきますが,自分の録音したものとお手本も聞き比べられるので,納得いかない結果になってしまった際はやり直すようにしましょう↓
ネイティブ度がパーセントで採点されてくるところも嬉しい機能ですね。
もっとも,スマホのマイクの状態によっては,うまく録音されないところもありますが,しばらく使っていると,うまく採点されるコツがつかめてきます。
私の場合,アクセントの置かれる音節や子音は強めに読むようにするとうまくいきました。
その他,スマホのマイクからの距離や低い声で話すようにするなど工夫してみてください。
ELSA Speakの使い方
ELSA Speakにおけるトレーニングメニューは大きく分けて以下の通りです↓
- テスト
- 発音練習
- アクセント練習
- リスニング練習
- 会話練習
- 講義動画
テスト
ELSA Speakではところどころでテストが行われ,目的としては現時点での実力を測るためのものの他,それまでに学んだ内容の復習に使われるテストがあります↓
基本的にはELSA Speakが提示するカリキュラムに乗っ取って進めていくだけで,自然と発音能力が改善されていくので,迷わずに進めていけるのが強みです。
同じアプリを使っても,本人の理解度などによって,まったく別のレッスンを行うことにもなりうるので,いわゆる個別最適化学習にも通じるものだと言えるでしょう。
設定の欄においては1日の学習目標を10分・15分・20分の間から選択でき,1日のノルマレッスンの数を変更できます。
発音練習
「発音スキル」と呼ばれる問題セットではELSAの読み上げた内容を繰り返します。
下線が弾いてある部分の発音内容が分析されるので,特に注意しましょう↓
このとき,自分の録音が聞き直せるだけでなく,カタツムリのアイコンを押すことでゆっくりしたお手本を聴けます。
アクセント練習
「強勢の配置」ではアクセントの練習ができます。
文字が強調されている箇所を強く読むように発音しますが,ネイティブの発音に続けて発音できるので難易度はそれほど高くありません↓
なお,こういった単語問題においては,定義や例文についても確認することができるので,自分だけの単語帳を作ってそこに加えることもできます(カタツムリの右にあるアイコンです)。
リスニング練習
「リスニングゲーム」と呼ばれるものでは,似ている発音が聞き分けられるようになります。
1つの単語に対して2つの音声が提示され,正しい方を選ぶ問題の他,聞いた音に対して正しい単語を選ぶ出題もあります↓
アクセントの位置が違うような問題であればまだしも,あいまい母音と通常の母音の区別をしないと正解できないような上のような問題だと,結構難しいと感じるのではないでしょうか。
会話練習
アプリ内では「会話ゲーム」という名前で呼ばれていますが,以前のレッスンで学んだ単語やフレーズを使ってチャットを行います↓
自分の発言内容は決められているものの,全部で10個(相手5,自分5)くらいのやり取りになりますが,最後に通しで聴くことも可能です。
日本語訳にも対応し,定義も簡単に調べることができます。
講義動画
この他,英語ネイティブが動画で発音の方法について教えてくれる講座も視聴可能です↓
数分で観終えるボリュームなので確認しやすく,解説は英語で行われるためある程度のリスニング力がないと理解できない部分があるかもしれませんが,英語で授業を受けていると思えば良い経験になります。
もっとも,動画の次には「基礎」と呼ばれるレッスンがあるのが普通で,そこでは日本語で動画のポイントがまとめ直されるので,そこで理解できるでしょう。
ELSA Speakの有料版と無料版の比較
ELSA Speakは無料で使うことができますが,本腰を入れて短期間で学びたい方にはELSA Proと呼ばれる有料版が圧倒的におすすめです。
スマホ画面の下部に見える「ELSAマーク(星のような形のアイコン)」をクリックすることで有料コンテンツが確認できるのですが,レッスン数が1600以上になりIELTSの練習なども行えるようになる他,自分の実力を分析してもらえます↓
普段は「プログラム」と呼ばれる日課(1日目・2日目といった形で,学ぶ内容が決められているもの)を行いつつ,残った時間はコーチに費やすと良いでしょう。
もう少し説明を加えていきますが,レッスンに関しては無料版だと全部で25個しか利用できません。
ELSA Speakの使い勝手を確認する程度であれば無料版を使って構いませんが,発音は数年ごとに短期集中を積み重ねて学ぶのが基本です。
大体3ヶ月も学べばかなりの改善が見られますが,その数年後に再び確認する意味で学び直すようにすると効果が出ます。
もちろん,その間にも英語を発音することはあるでしょうから,一度しっかりと学んでおくことは大切です。
そのように考えると,無料版のレッスン数では物足りないですし,何より,10レッスンを行うと24時間は次のレッスンに進めなくなってしまうところが集中学習する際の妨げとなってしまいます(Pro版の広告が入るのも煩わしいですし)。
講義動画の中には無料で使えないものもありました。
その他,このように,ELSAスコアというものが分析されるのも励みになるでしょう↓
これはペンタゴンチャートになっていて,「発音・強勢の配置・抑揚・流暢性・リスニング」の5つのスキルからなります。
英語をスマホで学習する際の弱みは自分の努力が目に見えづらいことです。
そのため,自分の成長を実感できる工夫が必要となるのですが,成長を確認することができれば日々の学習のやる気にも繋がります。
ELSA Speakの利用料金ですが,3ヶ月で1950円,年間だと5900円です。
iPhoneの場合は年会員のみとなることに注意が必要で,Android版は7日間の無料体験があるなど,多少は優遇されているように感じます。
まとめ
以上,ELSA Speakについての概要と使い方についてまとめてきました。
英語の学習をしていても,あまり声を出す練習はしないものでしょうし,レッスンは数分で終えることもできることから,疲れたときの気分転換に使うこともできます。
普段行っている教材に追加するのは,それほど大変なことにはならないでしょう。
無料版の場合だと,一定量を超える(10レッスン)と24時間使えなくなってしまうのが不便なので,有料会員になって集中的に学ぶのがおすすめです。
なお,ELSA Speakを使うにあたって,中学レベルの文法は身につけておく必要があります。
ゆえに,リスニング対策として音法を学び始めた300~400点台の初心者の方や,スピーキングについて学ぶべき目標スコア700点の方が主な対象者だと言えるでしょう。
単語は高校レベルのものが学べますが,文章内容も外国人が作成していることもあって,日本で学ばない内容の会話例もみられて勉強になるはずです。
ホテルではシナモン味の歯磨き粉をリクエストすることや,"peas in a pod(瓜二つ)"などと言った表現は中高では習わないものでしょう。
ELSA Speakを使って一味違った発音学習を楽しんでみてください!