中学生や高校生であれば,英語力を測る試験として英検を受験するのが一般的です。
ただ,英検2級に合格し,さらに上を目指したいとなったとき,次の目標として生徒にTOEICを受験させる学校もあります。
そこで今回は,偏差値50後半の中高一貫校に通う中高生が,どのくらいのTOEICスコアを取っているのか,また,そのスコアはどのような学び方によって支えられているのかという実際の事例を中心にみていきましょう。
あわせて,「その事例が同世代の中でどのあたりに位置するのか」がわかるよう,前提となる平均点も確認していきます。
TOEICは,上を見れば小学生で900点台後半を取る子もいますし,逆に社会人でも400点台にとどまる人は珍しくありません。
だからこそ,「日頃どのように学んでいると,どのくらいのスコアに届くのか」という事例からの目安を知っておくことには大きな意味があります。

【前提】中学生・高校生のTOEIC平均点と中央値の考え方
学校事例のスコアを見る前に,まずは「自分と同世代の平均点はどれくらいなのか」「中央値はどのあたりか」という点を前提として確認しておきましょう。
TOEICを運営するIIBCの公式データ(参考:TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2025)をもとに,中高生の全体的なスコアの目安をまとめます。
高校生の平均点
学校などで団体受験する「IPテスト」のデータを見ると,高校生全体の平均スコアは441点です。
また,学年別の平均点は以下のようになっています↓
- 高校1年生:410点
- 高校2年生:447点
- 高校3年生:445点
検索されることの多い「高校2年生の平均点」はおよそ440点台半ばです。
一般的な高校生であれば,このIPテストの数値がひとつの基準になるでしょう。
中学生の平均点
中学生の場合,学校などで受験するIPテストの平均点は488点です。
一方,個人で申し込む公開テストの平均点は566点と,高校生よりも高く出ています。
これは,「中学生の段階でわざわざTOEICの公開テストを受験するのは,帰国子女や幼少期から英語を学んでいる上位層がほとんどだから」という受験者層の偏りが主な理由です。
中高生のTOEIC中央値は?
「平均点だけでなく,中央値(順位が真ん中の人のスコア)が知りたい」という方も多いと思いますが,TOEIC公式から中高生の中央値データは発表されていません。
そのため,独自の推測で「中央値はこのくらい」と断定することはできません。
同世代のレベル感を測る際は,ひとまず公式に発表されている上記の「平均点」を1つの目安として捉えておくのが安全です。
これらを踏まえると,中高生がTOEICを受験する場合,平均を上回る「500点台」,そして「600点」が大きな壁であり目標になることがわかります。
本題:中堅校の事例では500~600点が1つの目安になる
全国的な平均点の目安がわかったところで,ここからはいよいよ本題である実際の学校の事例を見てみましょう。
今回取り上げる中高一貫校では,英検2級以上を取得した生徒を中心にTOEICを受験させており,そのスコアは全国平均を上回る500~600点台に収まることが多いとのことでした(校長先生談)。
平均だけを見ると「一部の飛び抜けてできる生徒が数字を押し上げているのでは」と思うかもしれませんが,学校の先生のお話では,実際には多くの生徒がこの範囲に収まっているそうです。
もっとも,この数字は学校に在籍する全員の結果ではありません。
TOEICを受験しているのは,英検2級まで進んだ上位層の生徒たちであり,学校全体の平均点ではないことには注意が必要です。
とはいえ,対象となっているのは中学2年生から高校2年生までの生徒が中心です。
受験勉強が本格化する高校3年生は含まれていないため,中高生の上位層にとって,TOEIC500~600点はかなり現実的な目標だと考えてよいでしょう。
受験人数は回ごとに多少前後しますが,おおむね以下のような内訳でした。
- 中学2年生が2~3人
- 中学3年生が5~6人
- 高校1年生が10人前後
- 高校2年生が20~30人
中2から高2までの生徒数が合計600人程度の学校ですから,受験者はおよそ50人,割合としては1割弱です。
なお,TOEIC600点前後の生徒であれば,スコアの内訳はおおむね次の範囲に収まることが多いようです↓
- リスニングが300~350点
- リーディングが250~300点
そのため,中高生がTOEICに挑戦する場合,まずは一般平均を超える600点を1つの目標として設定するのがわかりやすいでしょう。
中高生がTOEIC600点を取るための勉強法
それでは,このようなスコアはどのような学習によって生まれるのでしょうか。
今回話を聞いた中高一貫校では,週に5時間ほど英語の授業があり,そのうち3~4時間を文法や読解,残りの1~2時間をコミュニケーション系の授業に充てていました。
文法や読解については,いわゆる学校英語の王道そのものです。
特別に奇抜な教材や,TOEIC専用の裏技のようなものを中心にしているわけではありません。
一方,コミュニケーションの授業では,海外で使われている教科書を読み進める取り組みも行われていました。
現地の小学生向けレベルの教材とはいえ,日本の学校英語だけでは触れにくい表現に出会えるため,実用的な感覚を養うのに役立ちます。
たとえば,「6÷2=3」を英語でどう表現するかと聞かれて,すぐに
Six divided by two equals three.
と答えられる学生はそれほど多くありません。
こうした学習は英語に対する視野を広げてくれますが,TOEIC600点の土台となるのは,やはり文法・語彙・読解・リスニングを着実に積み上げる学習です。
普段英語を教えている立場から見ても,この学校だけが何か特別な魔法を使っているようには思えません。
むしろ強みは,普通の内容を普通に,しかも長く続けているところにあります。
勉強時間の面から見ても,このやり方は理にかなっています。
学校の授業だけで週5時間あり,さらに家庭学習が週1~2時間加われば,合計で週6~7時間ほど英語に触れる計算です。
それを2~3年続ければ,かなりの学習時間になります。
中高生は長期休暇も使えるため,大人よりも英語学習の総量を確保しやすいのです。
ここまでを踏まえると,中高生がTOEIC600点を取るために必要なのは,次のような学び方だと整理できます↓
- 学校英語の王道である文法・読解・語彙をしっかり学ぶ
- リスニングや音読も継続して行う
- 特別なテクニックに走る前に,週5~7時間程度の学習を2~3年単位で積み上げる
毎日の学習を欠かさず続け,学校の中でも上位1割前後に入るような学力を維持できれば,中高生のうちにTOEIC600点へ届く可能性は十分にあります。
中高生にとってTOEIC600点を取る意味
では,中高生がTOEIC600点を取ることには,どのような意味があるのでしょうか。
まず,中高生にとって英語学習の中心はあくまで学校の勉強や英検です。
入試との関係を考えても,英検の方が優先順位は高いでしょう。
ただ,英検2級を取得した生徒にとっては,その先の目標が少しぼやけやすくなります。
準1級をすぐに目指すのは負担が大きい場合がありますし,学校の勉強とのバランスも必要です。
そのようなとき,TOEIC600点という目標は,高校英語が実用的なレベルにどこまでつながっているかを確かめる指標としやすい数字です。
一般的な高校生の平均点(IPテストで約440点)を上回っている客観的な証明にもなります。
また,TOEICは英検よりも処理速度が問われやすいため,語彙や文法の知識を「知っている」だけでなく,「素早く使える」状態に近づけるきっかけにもなります。
もちろん,将来どの大学や職業を目指すかによって,TOEIC600点の重みは変わります。
ですが,中高生の段階でこのスコアを持っていれば,英語が得意分野の1つになっていると考えてよいでしょう。
一方で,社会人や大学生がTOEIC600点を目指す場合は,中高生と同じように数年単位で学習時間を積み上げるのが難しいこともあります。
そのため,社会人向けにはTOEIC対策に特化した勉強法や教材選びの方が重要になります。
この点については,別記事で詳しく扱っていますので,必要に応じて以下を参考にしてください↓
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まとめ
今回の記事では,中学生・高校生のTOEIC平均点などの公式データを前提として確認しつつ,偏差値50後半の中高一貫校に通う生徒の事例をもとにスコアの目安について考えてきました。
その結果,英検2級以上を取得している上位層の中高生であれば,TOEIC500~600点は十分に視野に入る数字であることがわかりました。
しかも,そのスコアは,TOEIC専用の小手先の対策だけで作られるものではありません。
学校英語を土台にして,文法・語彙・読解・リスニングを地道に積み上げることが,最終的には一番の近道になります。
実際,今回の学校でも,特別な対策本を何冊も仕上げていたわけではなく,普段の授業と継続的な学習が中心でした。
中高生のうちは,英検を軸にしながら英語の総合力を伸ばし,その延長線上で平均を超えるTOEIC600点を目指す形が無理のない進め方です。
英語が得意な中高生で,次の目標を探しているのであれば,TOEIC600点を1つの節目として考えてみてください。
最後までお読みいただき,ありがとうございました。