自宅でTOEICを独学するメリットとデメリット

2020年のコロナによる緊急事態宣言を皮切りに，自宅でTOEICを独学する価値が見直されたように思います。

それまでは，塾に行くか書籍で学ぶことでしか得られなかった知識が簡単に出回るようになり，2022年にはChatGPTが発表され，生成AIを搭載した教材も充実してきました。

今ではコロナ騒動も落ち着き，在宅勤務も解消されつつありますが，新しいタイプのTOEIC教材は増えており，改良や淘汰を重ねて良質なものが選抜されてきています。

自宅で十分，TOEIC対策を行える時代です。

とはいえ，自宅で独学することにはデメリットもあり，道具が良くなっても使う人間の本質は，これまでとほとんど変わっていないことを忘れてはいけません。

社会人の方は，自分がかつて中学生や高校生だったときのことを思い出してみてください。

宿題を家でやるときに遭遇したであろう多くの問題は，大人になってからも相変わらず厄介なものであり続けています。

そこで今回は，「自宅でTOEICを独学する際のメリットとデメリット」について，IIBCが在宅勤務をしているビジネスパーソンを対象に行った調査結果を基に考えてみることにしましょう！

コロナ禍で変わった自宅の学び

まず最初に，私が教えている塾に来ている中高生の話をさせてください。

コロナが発生してまだ間もない2020年の春以降，多くの学校や予備校が急遽休みになったわけですが，その連絡を受けた生徒たちの反応は様々でした。

と明るく振舞っている子もいれば，

と不安な気持ちに駆られた生徒も見られました。

ですが，私にとって最も印象的だったのは「家に籠って勉強漬けの日々が送れる！」と喜んでいた受験生たちです。

ピンチをチャンスに変える発想ができていたことはもちろん，学校に頼らずとも自宅で独学できてしまう時代になっていることに驚きました。

楽観視のしすぎで危機感のなさを露呈してしまうようでは問題ですが，物事をポジティブに捉えることは多くの局面で有効です。

こうした話は学生に限らず，コロナ禍で在宅勤務を強いられたビジネスパーソンたちにも似た傾向を見て取ることができました。

通勤に時間を取られなくなり自由に使える時間が増えたことが原因とはいえ，すぐに新しいことに挑戦しようとするところは，見習うべき立派な態度のように感じられたものです。

先のIIBCの調査結果によれば，普段英語を勉強している人の61.5%が勉強時間を増やすことに成功し，コロナをきっかけに英語を勉強することを決めたか，実際に行動に移した方が全体の27.6%いました。

なお，その目標がTOEICで高スコアを取得することだった場合，結果を出すためには最低でも数ヶ月はやる気を継続しなければならず，嫌でも試験日が来てしまう学生時代と異なり，社会人の学びは他人に強制されてやるものではありません。

何にでも取り組むことができると聞けばストレスフリーに思えますが，逆にいつでも自分の意志で簡単に止めてしまうこともできるわけです。

それも個人の自由ですが，とはいえ，一度決めたからにはある程度の結果を残し，今後別の何かに取り組む際の自信に繋げるのが理想でしょう。

その際，自宅学習のメリットとデメリットについて予め知っておけば，その強みを生かしつつ，困難な状況に陥ったときにも冷静に対処できるようになります。

まずは次章でメリットについてみていくことにしましょう！

 

 

自宅でTOEICを独学するメリット

英語を勉強しているビジネスパーソンの多くは自宅での学習に満足しており，先の調査結果によればその割合は65.8%となります。

この数字からわかることは，自宅というのは勉強場所とするのに適しており，そこでの独学を成功させることが，TOEICで大きなスコアアップを達成するための鍵になるということです。

以下に自宅学習のメリットを箇条書きにしてみましょう↓

自宅を勉強場所に選ぶ最大のメリットは移動する必要がないことであり，勉強時間は自然と多くなります。

外出するときに服を着替えたり，風呂に入ったりする時間も節約でき，人によっては髪型や化粧を気にせずに済むのが楽だと思うかもしれません。

「勉強は量より質である」という格言にも一理ありますが，TOEIC学習に悪影響を及ぼす教材で独学することには普通ならないわけで，少なくとも，当サイトで紹介しているような教材であれば，どれを用いても実力をアップさせられるでしょう。

もちろん，教材と本人の相性によってスコアの上がり幅に差は出てきますが，聞き流していれば自然と英語ができるようになるだとか，「外国人の私が英語を身に付けた方法」のような動画（日本人の現状を理解していない指導法）で学ぶのでなければスコアアップできます。

なので，基本的には1つの教材に費やす勉強時間が多くなるほど，TOEICスコアはそれだけ大きくアップすると思っていて構いません。

なお，2つ目に挙げた自宅での集中のしやすさは，人によって感じ方が異なり，

という社会人は必ずいるはずで，現に次章でデメリットとしても挙げています。

とはいえ，自宅で集中力が高まることは確かで，例えば，TVゲームをしたり好きな映画を観たりする際には，上の人も集中できているでしょう。

もちろん，学ぶ対象が魅力的なものであることが前提ですが，そうでないものが相手であっても，最初は家で全く集中できなかった人が我慢してしばらく勉強を続けていると，次第に集中できる体質に変わってくることが知られています。

こちらについては，次章で語る内容も参考に，集中力を増す方法を自分なりに考えてみてください。

独学の場合，必ずしも決められた時間に学ばなければならないわけではないので，マイペースで学習できるところもメリットの1つです。

講義動画なら一時停止して一眠りしてから学び直すとか，ジュースやお菓子を食べながら参考書を読むなどは，自宅で独習するのでなければ許されないことでしょう。

加えて，教材の種類ですが，コロナ禍を経てハイテク産業が発展し，今ではAIを搭載したアプリを中心に，zoomなどを介したオンライン形式で外国人と簡単に会話できるサービスも気軽に使えるようになっています。

今では，中学や高校でオンライン英会話が行われることも珍しくなくなりましたが，TOEICのL＆Rテストを受けるからと話すことや書くことを全くせず，ただインプット形式の教材を使うだけが正しい方法だとは限りません。

英語を学ぶ目的に「英語でコミュニケーションを行えるようになること」が含まれているのであれば，やる気維持のためにも週に何回かはアウトプットの勉強をすることをおすすめします。

これは，高スコアを独学で狙う人ほど重要となる考え方です。

 

 

自宅でTOEICを独学するデメリット

次に，自宅でTOEICを勉強する際のデメリットとして挙げられているものを紹介しましょう↓

これらが原因となって，自宅でのTOEIC学習を断念する方が多いわけですが，強い意志がないとやる気は続かないものです。

開始時のやる気を最後まで維持し続けることは困難ですが，どんなにやる気がないときであっても，勉強を全くしない日を作らないように心がけましょう。

なお，このときの工夫については，TOEICで結果を出すのに必要な4つの行動の記事に詳しく書きました。

続いて，2つ目に挙げた勉強法ですが，これまでにあまり勉強してこなかった人ほど選べる方法が少なく非効率な学びに陥りがちなので，今まで自分が行ったことがない勉強法を積極的に取り入れてみてください。

例えば，単語帳を使う場合，1日に10個ずつ完璧に覚えていく方法と，9割を忘れてしまっても構わない意識で毎日100個の単語に触れる勉強法とでは，かかる時間は変わらずとも，最終的に習得できる単語数に差が生じます（後者の方が優れています）。

3つ目のデメリットですが，自宅で勉強していて集中できない理由として，自分の内面に問題がある場合（すぐに気が散ってしまうなど）と，周りの環境に問題がある場合（子どもの世話をしないといけないなど）の2つがあるようです。

前者は自分の意思で克服できますが，後者は他人の力を借りない限りは難しいように思われます。

とはいえ，メリットの章で「自宅は集中しやすい」という声があったことや，外出せずに済んでいるからこそなんとかなっているところもあるわけで，自宅での独学に問題を抱えている方がスクールに通ってみたところで，他人まかせの態度は結局のところ上手くいかないものです。

ところで，先に紹介した記事で触れたように，自分の成長が実感できないことは学習の継続を妨げる大きな要因になります。

そのため，自分の頑張りを第三者に指摘してもらうか，少なくとも，客観的な判断材料になるデータを残しておくことが必要です。

例えば，勉強時間を記録したり，途中で模試を解いたときのスコアを記録したりといった工夫が考えられるでしょう。

デメリットの最後に挙げた「対面で授業を受けられない」点ですが，これは自宅学習が苦手とするものです。

たとえ，ビデオ通話を介して学習を行ったとしても，リアル対話の空気感を感じ取ることはできません。

カメラの問題で，一度に見える範囲が狭くなり，目線も実は相手と合っていなかったりします。

 

 

自宅でのTOEIC学習を成功させるために

以上の内容をふまえると，これまでに挙げたメリットをできるだけ多く享受しつつ，デメリット部分を可能な限り払拭できる勉強法を採用することが，自宅でのTOEIC対策を成功させるために考えるべきことだと結論付けられるでしょう。

とはいえ，一度に多くを望むのは大変なので，まずは当記事で挙げたメリットやデメリットの中から，自分のTOEIC学習で課題になりそうなものをチェックしてみては，改善しやすそうなものから1つずつ対策していってください。

最後に具体的な独学方法を一つ考えてみますが，自宅で学習する以上，やる気の波に左右されることは避けられないため，一日のノルマはページ数や問題数よりも勉強時間で設定するようにします。

TOEICでは費やした勉強時間に比例してスコアが上昇することが知られており，数十点でもスコアが上がれば「自分の勉強は間違っていなかった。努力は報われるのだ」と嬉しくなるでしょう↓

信頼できる教材が見つかった場合は利用を検討しますが，複数個の教材を組み合わせて使うことも十分に考えられます。

また，ずっと同じ教材で学び続けていても飽きてしまうので，変わった勉強法を採用しているものを挟んでみたり，平日と休日で勉強内容を変えてみたりするのも，マンネリ化を防いでくれてはやる気アップに繋がるでしょう。

楽しくトレーニングが行えるものはオンライン教材に多い印象で，対面授業が好きな方であれば，直接会うのと多少異なっているとしても，まずはオンライン英会話を試してみてください。

疑問点を質問できるコーチングサービスや添削を利用できるものも登場してきています。

そして，モチベーションを維持する意味でもTOEICを半年に一度は受験するようにし，スコアアップという成果が得られていることを確認してください。

社会人の学習は，中高生の頃のように苦しい思いばかりをする必要はありません。

闇雲に努力するだけを善とせず，自分なりの方法論を持って行う方が人生の糧になる確率は高く，目標を達成したらご褒美タイムを設けるなど，大人ならではの財力を有効活用するのも立派な工夫の1つです。

みなさんの自宅での独学が上手くいくように祈っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。