TOEIC対策ができるスマホアプリの中で目につくのは,日本でTOEICテストを運営する団体が提供する,この「English Upgrader」というアプリではないでしょうか。
アプリストアで検索してみるとわかりますが,あまりに多くのTOEICアプリが提示されてくるので,「いったい何を使って学習すれば良いのだろうか」とやる気がなくなってしまうことに繋がりかねません。
ですが,こちらのアプリは正真正銘の本物で,しかも無料で使えるとあって,積極的に試してみたいアプリの1つです。
なお,現在のところ本アプリは「TOEIC公式コンテンツby IIBC」というアプリに引き継がれた関係上,サービス終了となっています↓
「エピソード」というコンテンツから利用することができるのですが,その内容についてはEnglish Upgraderのものとほとんど同じです。
本記事は,English Upgraderの評判や使い勝手のレビューについてまとめたものではありますが,上記TOEIC公式コンテンツby IIBCを利用する際の参考資料としてお読みください。
目次
English Upgraderとは
- 名称:English Upgrader
- 提供:国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)
- 料金:無料
- 内容:数分程度の長さのスキットが63個あり,英文と日本語訳と共に確認できる。さらに,内容理解に関する質問や出てきた表現の意味,発音,例文をチェックすることが可能。
先述しましたが,TOEIC公式が提供する英語学習アプリとなっています。
ちなみに「Upgrader」という英単語はありませんが,TOEICの力を向上させてくれる存在程度に考えておきましょう。
本アプリが登場した経緯ですが,かつて放送されたことがあるポッドキャストの内容を学習用にアレンジしたとのことですが,TOEICテストに完全対応した形式ではないので注意が必要です。
本アプリで学ぶことでTOEICのスコアが上がるのは確かですが,本番と形式は異なっています。
また,アプリの更新は数年に1度あるかどうかのペースで,Android版の場合,2018年の3月が最後でした。
もっとも,当時の段階ですでに完成されていたコンテンツとも考えられますし,TOEIC対策としては主にリスニング力の増強に役立ちます。
次章でその評判についてみてみましょう!
English Upgraderのレビュー
まず最初にEnglish Upgraderの良い口コミを紹介し,次に悪い口コミをまとめていきます。
良い口コミ
良い口コミを寄せている人のコメントでは,
- すべてのコンテンツが無料で使える
- TOEICの運営が提供している
- 解説が丁寧かつ充実している
ところが評価されていました。
2021年の3月にチェックした際の星の数は3.9個でしたので,十分合格点と言えるでしょう。
実際に公式が提供するポッドキャストですから,出演者や教材は実力者が選ばれているわけで,学べば学んだ分だけ,リスニングパートのスコアアップにつながることは確かなようです。
現代どれだけの人がポッドキャストを利用しているかわかりませんが,15年くらい前に無料で英語を勉強するとなれば,真っ先に浮かぶ選択肢だったように思います。
悪い口コミ
- 操作上の不具合が多い
- 教材の質に不満
- 使い勝手に不満
続けて悪い口コミについてですが,予想通り無料アプリにつきものの内容となっていました。
まずは宣伝的なものについてですが,やや公式サイトへの誘導を促す働きかけが気になるようです。
起動時に毎回TOEICの公式サイトが強制的に開かれてしまうというのは古典的な宣伝方法ですが,特にそれを便利だと思う人はいないでしょう。
加えて,教材の質に対する低評価として,アメリカ英語しか聞けないことや話し手の声質が良くないなどの不満が述べられていました。
星1個というのはアプリが起動しないときに付けられることが多く,使い勝手の面も含めて,多少の不便は覚悟すべきというのが使用するにあたっての注意点です。
私的な感想
私自身使ってみましたが,別段マイナスに感じるところはありませんでした。
ただし,3年間にわたって見守ってきて,その間にレビュー数が1559件→1615件へと50件ちょっとしか増えなかったことを考えると,あまり人気はなさそうです。
学習者の傾向としては,TOEIC対策に使うのであれば,お金を多少支払ってでも完全に対応した教材を求めるのでしょう。
リスニング対策にアプリを使うとしても,「別にわざわざEnglish Upgraderを使わなくても良いかな」と感じる方が多いように思われます。
とはいえ,ボリュームとして10時間弱で学習できますし,音声スピードも速く骨のある問題が並ぶので,徹底的にやりこめば30点くらいのスコアアップは見込めるように感じました。
English Upgraderの学習コンテンツ
English Upgraderをインストールすると,早速使い方をみることができました↓
左の「始める」を選択すると閉じられてしまいますが,もし使い方を見たければ,画面下にある歯車(About App)から「このアプリの使い方」をクリックすればOKです。
というか最初に読んでもピンとは来ないでしょう。
逆にある程度学習を進めてから見直すと,「こういう使い方もできるんだな」と役立つ場面もあるかと思います。
ちなみに学習コンテンツは「Episodes」と「Phrases」の2つです(+今日のフレーズ)。
1つ1つ紹介していきましょう!
Episodes
先に触れた63個のスキットが収録されているのは「Episodes」となります。
量的にみても,これがメインコンテンツであることは明らかでしょう↓
会話表現に特化した内容で,1つのスキットは1分程度のものですが,読まれるスピードがとにかく速いので最初は驚くことと思います。
まずは1つのスキットをダウンロードしますが,しないことには使えません。
このアプリで面白いところは「モード」が選べるところでしょう。
「リスニングモード」と「クイズモード」の2つがあります↓
まずは前者の「リスニングモード」の方から使っていきましょう!
最初のレッスンは8分14秒の長さですが,その細かい進行については以下の通りです↓
- 0:00~ 挨拶と場面設定について
- 0:27~ スキットを英語で読む
- 1:15~ フレーズ解説を日本語で行う
- 6:02~ フレーズの復習をする
- 6:54~ スキットを日本語で読む
- 7:57~ 終わりの挨拶
もともとの素材はポッドキャストですからね。
未経験の方でも,ラジオ英会話を聞いているような感じと言えば伝わるでしょうか。
時間が来るとコーナーが切り替わるのでテンポが良いです。
なお,「先に進む」や「後に戻る」のボタンを押すことで,コーナーをスキップすることができます(次に紹介する画像のバーに逆三角形が表示されていますが,その記号間を移動することができます)。
英語でスキットを聴く以外に,番組を担当する白石ミホさんによる解説や,スキットを日本語で喋る時間まで用意されているのが特徴です。
リスニングしながら「英語・日本語・フレーズ一覧」を表示切替できるので,自分なりの使い方ができるでしょう。
スキットの英文を確認してみるとこのような感じです↓
速度調節がないのが残念ですが,音読練習用には十分使えました。
日本語訳に切り替えると以下のような画面になります↓
わからなかった英語の意味を確認する他にも,上級者の方であれば,この日本語のみを頼りに英語に直してみる勉強法も採用できるでしょう。
フレーズ一覧はこのような感じです↓
これらはスキット内からピックアップされたフレーズとなり,ナビゲーターの白石さんが解説を加えてくれます。
約8分間のレッスンのうち,スキットを英語で聴いている時間自体は1分弱です(今回のエピソードは8分でしたが多くは10分程度で,20分近くあるものもあります)。
ですが,解説があるおかげでより親しみやすくなっているので,1度是非聞いてみてください。
続けて今度は「クイズモード」について説明しますが,このモードで流れるのは英語のスキットのみです。
ただし,リスニングモードにはなかった,スキットの内容理解に関する問題や出てきたフレーズの意味を答える問題が3択で出題されてきます。
学習要素が強いので,問題を解きたい実践志向の方も満足いただける内容です。
例えば,理解度チェックテストは,このような感じで3題出題されます↓
次にフレーズ3択クイズですが,以下のような出題形式となり,問題数は11問と多めです↓
すべて解き終えると,正解数が表示され学習終了となります↓
「あなたにオススメのテスト」以下に見えているものはすべて広告ですが,さすがにこのページからTOEIC試験を受けようと申し込む学習者はいないでしょう(ちなみに,後継となる公式コンテンツby IIBCでは広告表示はなくなっています)。
Phrases
学習コンテンツの2つ目は「Phrases」と呼ばれるものです(公式コンテンツby IIBCにこちらの機能はありません)。
上で紹介したEpisodesで紹介された重要フレーズを一気にまとめて確認できるということで,いわゆる単語帳のように使える機能になります↓
お気に入りマーク(左端にある☆マーク)を付けて整理できたり,色々と並び替えて簡単なチェックテストとして使えるところが便利です↓
重要フレーズには,それがどこで出てきたものなのかが書かれているため,復習しようと思った際に聴くべきスキットを簡単に探し出すこともできます。
学習したものについてはしっかりと学び直せるあたり,確かに無料にしておくには勿体ない良質なコンテンツに仕上がっているように思いました。
今日のフレーズ
学習コンテンツと呼ぶほどのものではありませんが,「今日のフレーズ」という通知機能もあり,重要フレーズの中から1つをランダムに毎日出題してきてくれます(こちらも公式コンテンツby IIBCにはありません)。
大変スマホアプリらしい機能ですが,無理にでもやる気にさせてほしい方におすすめです。
通知の設定に関しては結構凝っていて,頻度や時間,通知範囲までかなり細かく設定できました。
以下は,平日のみ通知をONにし,朝の7時15分に全範囲からランダムで通知するように設定した状態です↓↓
おすすめの使い方
最後におすすめの使い方についてまとめておきますが,TOEIC800点以上の方は,まず最初にEpisodesにある「クイズモード」に挑戦してみるのはいかがでしょうか。
聴いてみるとわかりますが,スキットのスピードが本番並みに速い上,音質の問題もあってさらに聴き取りづらくなっています。
しっかり意識を集中して聴かないと,理解度チェッククイズに正解することはできません(なお,番組内でも同じ出題があります)。
もし間違えた問題があった場合,英語の原稿であればこのモードからでも確認できますから,それを見直してどうしてできなかったのかの原因を分析します。
フレーズ3択クイズで間違えてしまったものはお気に入りに登録しておき,週末にでもまとめて一気に復習し直すとよいでしょう。
先述したように,時間にして10時間弱の内容とかなりのボリュームを誇るEnglish Upgraderではありますが,1日15分もやれば2ヶ月で終えられます。
スコアがもう少し低い方の場合,スキット内容がいまいち理解できないことが多いと思うので,「リスニングモード」を使って1つ1つしっかり理解していく勉強法がおすすめです。
最初はわからなくても,英文や日本語訳のどちらもあるので,何度も読むようにすれば必ず聞き取れるようになります。
できなかったものができるようになるということは,つまり,自分の実力がアップしたことを意味するので,期待しておきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。