2019年に新たな形式になったTOEIC Bridgeですが,その利用目的からすると,通常のTOEICと比べ,本番でテクニックを駆使する必要性は低いでしょう。
英検のような試験と同様に,普段通りの実力さえ発揮できれば,それ相当の結果が返ってくるものです。
とはいえ,無策で臨むようでは準備が不十分となり,不本意な結果に終わる可能性が高まりますし,逆に熱を入れて対策すると,総合的な英語力を高めるための良い機会となります。
TOEIC Bridgeを受ける方の多くは,これまでに外部テストを受けた経験も少ないでしょうから,試験当日は高い緊張感でもって長時間集中する練習を積める絶好のチャンスともなり,様々な点で自身のレベルアップを果たせるでしょう。
さて,今回紹介するのは「TOEIC Bridge Listening & Writing公式ワークブック」になりますが,本番に向けて対策する日々を充実したものにするための心強い味方になってくれます。
その名の通り,ワーク形式であることが特徴で,学習者自らが手を動かしては空欄を埋めていく作業が必要になりますが,詳しくは本文でみていくことにしましょう!
目次
TOEIC Bridge L&R公式ワークブックの特徴
基本情報
書名:TOEIC Bridge Listening & Reading 公式ワークブック(1と2)
出版:2021年7月(1)と2024年10月(2)
サイズ:B5
ボリューム:1が340ページ,2が420ページ(本誌+別冊)
音声:1にはCD-ROMが付属。両者ともに音源のDLが可
TOEICの公式が出しているBridgeの対策本は主に2種類があり,1つが4技能に対応したTOEIC Bridge公式ガイドブックで,そしてもう1つがL&Rに特化した本書です。
S&Wの対策が必要でない限りは,ワークブックの方を選びましょう。
タイトルにあるように,書き込み式であるところが本書の大きな特徴です。
本番では問題用紙に書き込むすることはできませんが,対策する時においてまでそれに従うべきではなく,むしろ復習においては,積極的に書き込みを行うことでよりよく理解できるでしょう。
知らなかった単語の意味を書き込むでも,意味のまとまりごとに線を引いてみるでも構いません。
ところで,TOEIC BridgeのL&Rは全部で7個のパートからなるのですが,同一のパート内においても似て非なる質問をされることがあります。
問われている能力が異なるとでも言いましょうか。
いずれにせよ,こういったことを準備段階のうちから知っておけるからこそ対策をすべきなのですが,こういった分析を他でもない公式(ETS)が行っているというのが驚きです。
以下は1巻の目次になりますが,例えば,質問や発言を聞いて適切な内容のものを答えさせられるPart2のところに注目してください↓
すると「WH疑問文,YES/NO疑問文,その他(平叙文,選択疑問文,提案・依頼・許可の文)」の3つのタイプがあると分かるわけです。
似た問題形式ではありますが,これら3つの解き方は明確に異なります。
ちなみに,書き込み作業を主に必要とするのは,上の目次において「Chapter 01」と書かれているところになり,「Chapter 02」の部分は模試(実践テスト)となっていて,本番と同じ形式で練習することが可能です。
もっとも,Chapter 01でも本番そっくりの出題がみられるので,本書を一通り解くことによって,Bridgeの模試を最低でも3回解いたくらいの経験値が得られると思っていて構いません。
ちなみに,これまでの1と2の2種類が出ていますが,順番通り両者ともやらなければならないわけではなく,どちらか1冊で大丈夫です。
書き込み式なので学びやすい
ここからは,前章で紹介した本書の魅力をいくつか紹介します。
TOEIC Bridgeの受験者層というのは,独自の勉強法が確立していなかったり机に向かう習慣が身に付いていなかったりする方が多いと思うので,書き込み式で学んでいくのがやりやすいです。
知らず知らずに演習量を増やせますし,冊子中の空欄を埋めていくだけで容易に達成感が得られるでしょう。
以下に示した例で解説すると,通常であれば1回音声を聞いて問題を解いたら終わりとなってしまうところが,3つのワークを通すことによって計3回聴くことになります↓
しかも,それぞれに課題が設定されているので,目的意識を持ってワークに取り組めるところが良い工夫です。
上に示した画像内容についてより詳しくみてみると,1回目のワークで会話の要点を書き出し,2回目のワークでより詳しく単語を聞き取り,最後のワーク3で本番形式で解くことになります。
これはスモールステップ方式と呼ばれる学び方で,公文式が有名ですが,特に初心者に教えるのに向いた方法です。
無理なく簡単なものから始められて,先に進むにつれてより高度な内容になっていきます。
この他,様々な種類のワークが含まれているところも高評価で,特定の語句に線を引いたり丸で囲むような指示のあるものから,文法問題では品詞の分類や,時制を変えて答える課題があったり,はたまた正解の根拠となった文を指摘したりするものまで見られました↓
こういった作業を通じて,本番中にどのようなことを考えながら解いていくのかを無意識に身に付けていくことができるわけです。
ユニットごとに細かく学べる
TOEIC Bridgeはリスニングパートが4つ,リーディングパートが3つの計7つから成りますが,本書はさらにそれらを細分化し,前者・後者ともに8つの計16個のユニットから構成されています。
そして,各ユニットには,
- 学習テーマの解説
- 例題と例題の解説
- ワーク
- ワークの解答と解説
- ミニテスト
が含まれており,1つのテーマごとにとことん理解を深めていける工夫が施されているわけです。
最初に挙げた「学習テーマの解説」では,そのユニットに分類された問題の特徴やそれを解くにあたって注意すべき点が指摘されていました↓
続いて例題を解き,実際にどう出題されるかのイメージをより明確にします。
このときは,正解することよりも,学習テーマについて理解することをより強く意識してください。
解説まで,しっかりと目を通しましょう↓
続いて,目玉となるワーク作業に移っていきますが,この部分については前章ですでにその魅力を語りました。
この作業にどれだけ時間や情熱を注げたかによって得られるものが大きく異なります。
問題文の指示に従って必ず何らかの答えを用意してから,その解答や解説を確認していくことが大切です↓
仕上げにミニテストを解きますが,これまでに学んだ内容を生かし,是非とも正解を目指しましょう↓
予想問題が2回分収録されている
TOEIC Bridge L&R公式ワークブックは,本番の問題を開発しているETSが作成した公式本だけあって,スピーカーは本番と同じ人物が登場しており,訛りを含む4ヶ国(アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア)の英語で話されます。
形式は本番通りで,換算表を用いて予想スコアが算出できる他,答えを書き込むマークシートを使って色塗りの練習をすることも可能です(ただし,予想スコアはある程度の幅を持って算出されてきます)。
別冊が全体の半分を占めるほどに分厚くなっているのも,初級者向けの参考書として相応しい内容だと思いました↓
単に1回解いて丸付けをしただけで終わりにせず,知らなかった単語があれば別に書き出してみるなどし,問題は複数回解き直し,リスニング問題の音声も繰り返し聞いてみましょう。
TOEIC Bridgeに出てくる英語表現は重箱の隅をつつくような難問・奇問はまず見られませんし,本番で同じ単語を目にすることも少なくありません。
そういった意味では,本ワークブックで学んだ努力は報われやすいです。
解説部分にある語句の意味のまとめは使いやすく,前章で紹介した書き込み部分で語注として登場してきた語句も覚えておきましょう。
こうした努力が今後の英語力の伸びを左右します。
まとめ
以上,TOEIC Bridge公式ワークブックのレビューでした。
魅力を一言で言い表すと,初心者が嬉しい仕様になっています。
新形式にばっちり対応していて,書き込みをしながら学んでいける点が初心者にとって使いやすく,問題量も中々ですし,公式が作成しているので情報の信頼性も高いです。
BridgeでS&W対策が必要ない方には大いに勧められます。
当然ながら,本書を通して身に付いた語彙力や問題の解き方は多くの英語試験に応用可能ですので,費やした時間は決して無駄にはなりません。
TOEIC Bridgeにしか通じないようなテクニックは見られず,実力アップにしっかりと貢献してくれるでしょう。
購入された方は安心して勉強に励んでください!
最後までお読みいただきありがとうございました。