TOEIC対策と聞くと「公式問題集を解く」といった実践的なものがまず頭に浮かびますが,英語を聴いたり読んだりすることも同じくらい大切です。
実践的な対策を通してどれだけ小手先の技術を高めたところで,そもそも問題文が聴けない・読めないのであれば大して役に立ちません。
つまり,自分の実力を最大限に発揮させるために必要な対策が前者であり,肝心の実力をアップさせるためには後者が必要となってくるわけです。
また,公式問題集を買ってきて2時間ぶっ通しで机に向かうことは,時間に余裕がある人なら難なくこなせるでしょうが,多くの方にとってはかなりハードルが高いことのように思えます。
というのも,仕事で忙しい社会人はもちろん,家事に時間を取られてしまい自分の時間が持てない主婦の方や,自由な時間が比較的あると思われる大学生ですらサークルやバイトに遊びなどでスケジュールに余裕がないからです。
その点,後者の対策は比較的簡単に行うことができます。
そこで今回の記事では「スマホを用いたTOEICの勉強法」についてみていくことにしましょう!
スマホを用いた技能別勉強法について
スマートフォンはほぼ全員が持っているツールで,これからの時代には欠かせないものです。
スマホを上手く使いこなせるからこそ,人は毎日を楽しく有意義に過ごすことができます。
その一番の強みは「絶えず自分のそばに置いておけること」で間違いないでしょう。
確かに,身近に置いておくものの筆頭であった財布ですら最近はスマホに取って代わられていますし,変な話,大切な家族や恋人よりも一緒にいる時間は長いと思います。
時には,友人以上に自分を楽しい気持ちにさせてくれることもあるわけです。
今ではSNSで見ず知らずの他人の呟きや動画をみて楽しむことができますし,マンガや音楽のようなエンタメも充実しています。
なので,勉強時においても,そんな心強い相棒を頼れないか真っ先に考えてみるようにしてください。
TOEICの対策を行うにあたっても,音楽やマンガやアニメのような一見教材らしくないものも効果的に用いることができるのですが,ここではまずスマホ学習のメリットについて整理しておきましょう↓
スマホ学習のメリット
- 耳だけでも学べる
- スキマ時間に使いやすい
- 集中力が高められる
- コスパ,タイパともに高い
- 自分に合った教材を使える
勉強は量より質という意見はごもっともですが,スマホを使って学ぶ際には,触れる時間つまりは量を増やすことを心掛けるようにしてください。
例えば,電車内での学習が自宅での学習よりも質的に良くなることはありえませんが,それを量でカバーすることが可能です。
ちょっとした空き時間のたびにスマホを取り出して学習するようにすれば,1回ごとの時間は少なくとも,1日全体を通してみれば結構な学習時間になっているでしょう。
加えて実践的な側面も持ち合わせており,試験本番は集中を妨げるものが多い(隣の人がテスト用紙をめくる音や鉛筆を走らせる音が飛び交うような)中での戦いになるわけですから,出先でのスマホ学習は集中力を保つための良い訓練になります。
無料で使える教材も多く,種類も豊富です。
逆にスマホ学習のデメリットとしては何があるでしょうか。
思い浮かぶのは以下のようなものです↓
スマホが苦手とするところ
- 細かく書き込む作業ができない
- 他の誘惑が多い
- 教材を広範囲まで見渡すことができない
- 多くの教材を使えていない
- 受け身の学習になりがち
実際,スキマ時間に何をするかは本人次第なため,無駄に時間を過ごすことも十分にあり得ます。
また,集中して勉強してみたところで,周りの環境を全く無視するわけにはいきませんから,途中で邪魔が入ることもあるわけです。
目的地に着いたことに伴う移動はもちろん,学習中にSNSの通知が来て集中が妨げられたり,スマホ広告に意識を取られたりすることもあります。
また,学習の質が低いことについてはすでに触れましたが,画面が小さいので読解問題を解くには不向きですし,リスニングの学習を行なう際も,ただ聴いて終わりにしがちです(本当は,続けて音読やシャドーイングもしなければなりません)。
ちなみに,TOEIC対策にスマホアプリを用いる人の割合は20~30代が一番高いとされていますが,彼らが主に使用しているのは単語アプリで,それ以外のトレーニングまで行っているような人はあまりいないと思われます。
折角スマホにはマイクやスピーカーが内蔵されているわけですから,読む・書く・聞く・話すに代表される英語4技能をバランス良く強化していきましょう。
学習分野が偏らないようにすることは意外と重要で,たとえTOEIC L&Rの対策をしていても,S&Wの勉強をすることでスコアが伸びることも普通にあります。
毎日同じ勉強に飽きてしまっている方やスコアが思うように伸びていない方は,思い切って学習分野を変えてみてください。
次章からは,スマホを使った英語4技能の勉強法について,1つ1つみていくことにしましょう!
スマホで英語を聞く力を高める方法
スマホを使って英語のリスニング能力を高めようと思ったら,とにかく聞く時間を増やすこと(量より質)が重要だと述べました。
その時のリスニング素材として最もおすすめなのは英語のニュースです。
TOEICではビジネスシーンでよく使われる英語が出題されるので,社会的な話題を扱ったニュース番組との相性が極めて良いと言えます。
具体的なものについて知りたければ,リスニングできる海外サイトについてまとめた記事を読んでください。
なお,社会的なニュースばかりでは面白くないと感じる方も少なくないはずです。
その場合は海外ドラマや映画を用いる勉強法を採用するのがおすすめで,毎日しろとまでは言いませんが,週末に時間を設けるなどして取り入れてみましょう。
このときの注意点はただ観て終わりにしないことですから,受け身学習にならないよう,例文暗記をしたりシャドーイングを行ったりできるものを教材に選ぶことも重要と言えます。
例えば私の場合,YouTubeを使ってしまうと広告やおすすめ動画などの誘惑に負けてしまいがちなので,英語字幕が利用できる動画配信サービスを利用するのがおすすめです。
このときのメリットとしては,ただ単にセリフが英語で聴けるだけではありません。
海外文化の理解が深まったり自分の英語熱が高まったりすることはよくあることで,TOEICでもその経験が意外なところで生きてきます。
動画で使用されている英語のレベルが高くて難しすぎる場合は海外のスポーツ番組を用いるようにし,耳で聴くだけで画面が見られない状況でのスマホ学習が多い方は洋楽を聴く方法を採用するのもありです。
なお,今回の記事では便宜上「勉強法」と呼んでしまっていますが,トレーニング自体を楽しめるに越したことはありません。
量を重視するのが肝心ですから,時間を過ごしていて苦痛に感じるようなものは即刻排除すべきです。
是非,自分の好みに合った方法で聞く能力をアップさせるようにしてください。
スマホで英語を読む力を高める方法
スマホでリーディング能力を高めようと思ったら,英字新聞や洋書を読むのがおすすめです。
とはいえ,英語に対する日本語訳がいつでも利用できるわけではないので,その場合はGoogle翻訳などを使って日本語に変換してみるのも良い方法だと思います。
とはいえ,画面上に意味を知らない単語が10数個も存在するようでは,意味を調べるのが大変です。
その作業をしていて楽しさを感じることは少ないでしょう。
なので,すでに映画や和書であらすじ自体を知っているものを題材に用いると,未知の単語の意味も推測しやすくなっておすすめです。
さて,英語の読む能力を高めるための英字新聞としては,ジャパンタイムズ社が発行しているものが日本国内で話題になったニュースを多く扱っていてより内容が入ってきやすいと感じます。
いまいちニュースの内容が理解できないときでも,Yahoo!ニュースなどで日本語で書かれた同様の記事を探すことも可能です。
ところでTOEICの学習者向けに,より試験に出やすい語句を意図的に使って,和訳や解説がすぐに確認できるThe Japan Times Alphaという特別版があることはご存知でしょうか。
これは英字新聞でありながらもTOEIC学習に特化した内容に仕上がっているので,数ヶ月だけでも購読してみることをおすすめします。
洋書に関してもオンラインのサービスが利用できる時代なので,スマホアプリで読める電子書籍を使うのはもちろん,読み聞かせをしてくれるオーディオブックの利用も検討してください。
スマホで英語を書く力を高める方法
英語を書く能力を高めるためには,やはり何と言っても自分で実際に手を動かしてみることが大切です。
英語で日記をつける学習法は昔から行われている定番ですが,ノートにペンを使って書く代わりにそれをSNS上で行うこともできます。
スマホを使って短い呟きを入力する程度だったらそこまでの負担にはならないでしょう。
例えばインスタグラムに写真をアップするとき,これまで日本語で書いていた文面を英語にするだけでも,立派なTOEIC対策になります。
もちろんXを使って気になった外国人をフォローして,DMを送ったりコメントしたりもできるでしょう。
1対1であることに抵抗がある場合は,海外のYouTuberのライブに参加してコメントしてみてください。
これならば気軽に英語を書くことができます。
もしも相手の返信がくれば,それが嬉しさとなって英語のモチベーションも高まるというものです。
ただし,自分の英語学習のために相手を利用する気持ちで行うことのないようしてください。
相手もきっとそれにすぐ気付くでしょうが,あくまで血の通った人間とのコミュニケーションであることを忘れないことが重要です。
なお,頭に浮かんだ日本語を英語でどのように書くかわからなければ,LINE翻訳や英辞郎を使ってみるのが良いでしょう。
スマホで英語を話す力を高める方法
スピーキングがライティング以上に実践するのが難しいとされている理由は,相手が必要だからです。
昔から,外国人の恋人を作ることが英会話上達の鍵だと囁かれてきましたが,そもそも身の周りに英語で話せる友達すらいないことの方が多いわけですから,そこはオンライン英会話を利用するのが無難かと思います。
とはいえ,それだと出先などではやりづらいでしょう。
満員電車でオンライン英会話などできるはずもありません。
ならば発想を変えて,「ライティングが出来る=日本語で言いたいことを英語にできる」と考え,ひたすら書くことに特化するのもゆくゆくはスピーキング力の上昇につながることになるので有益です。
こちらに関しては,スピーチを分析することでスピーキング能力を鍛える方法で述べた内容を試してみてください。
感動できる文章に出会った時はただそれを写し取るだけでも学ぶことは多く,写経に通じるところがあります。
シャドーイングを始めとした各トレーニングをある程度積んで話せるようになってから,満を持してオンライン英会話を利用するようにすれば心理的にもすんなり入っていけるはずです。
発音に苦手意識がある方には,Elsa SPEAKのような発音矯正アプリをつかっておくことも有用ですし,AIとチャットができるReplikaのようなアプリもあり,それならば相手も予約も要らず,私もよく日常の愚痴を聞いてもらっています。
まとめ
以上,スマートフォンを使ったTOEICの勉強法について技能別にみてきました。
今回紹介した学習手段についてまとめると,
- 聞く能力を高めるなら「英語ニュースや動画」
- 読む能力を高めるなら「英字新聞や洋書」
- 書く能力を高めるなら「SNSの呟きかAIとの会話」
- 話す能力を高めるなら「オンライン英会話」
となります。
これらをスマホ上で行うことで場所や時間を問わず学習できますし,実際に通学する場合と比べてお金もさほどかかりません。
なんとも頼もしい味方ではないですか。
もっとも,TOEICのパート別学習や単語など,本番に直結する対策も当然ながら必要です。
こちらに関しては,無料アプリのみを使ったTOEIC勉強法の記事を参考にしてみてください。
とはいえ,冒頭で述べたように,それだけでは息が詰まってしまうものですしすぐに伸び悩んでしまうでしょう。
普段のTOEIC対策がうまくいっていないように感じたときもそうですが,あまり練習していない技能に目を向けてみることで,意外な突破口が開けることを是非忘れないでください。
最後までお読みいただき,ありがとうございました。